第8話  友人

「よっ、鈴木」

あまりかしこまらずに気楽に声をかける。イケメンの友達ができると学生生活が華やぐのは間違いない。話し方の気楽さとは裏腹に俺の脈は明らかに早くなっている。

「おう、佐藤だったな」

「俺たち合ったことあったっけ?受験組?」

「そうか?佐藤の方がかっこいいと思うけど、Kpopっぽくて」

かっこいいと言われると少しだけいい気分になる。親ガチャの効果は様様だ。

「ははっ、ありがとう」

「ところで、佐藤は学内?」

「俺は学外だから」

「まじか。俺は受験組なんだ。なんか俺たち相性よさそうだ」

こいつはなかなかにノリが良さそうだな。俺と馬が合いそうだ。

俺と鈴木が話していると、後ろから東雲が声をかけてきた。

やべっ、ちょっと距離近すぎたか。初対面なのに馴れ馴れしかったかも。

怒られるかと思ったが、彼女は意外にも上機嫌で、 俺と鈴木の間に割り込んできた。

ん、何事だ。


「ねぇ、私も混ぜてもらってもいいかしら?」

「ああ、もちろん」

「もちろん大歓迎さ」

鈴木は女の子との話すのも慣れてるな。

「ありがと」

そういうと、彼女は微笑みを浮かべた。俺たちは部活のこと、小学高出のことたわいもない話をして、連絡先を交換した。

こうして俺にリア充の友達ができた。

恐らくだがこの4人はクラスの中心になっていく可能性が高い。初日のうちに1軍メンバーでつながりができたのは大きい。

美少女とイケメンの友達ができれば、クラスの中でもいいポジションがとれる。前世みたいにアニオタの集団には入らない。だが、あの時の俺は、あの空間が好きだったのもまた事実だ。少しだけ……ほんの少しだけど後ろ髪惹かれる。

まあ、アニメはたしなむ程度に。個人的に楽しめばいいか。

「リア充最高!」

と心の中で叫んで大事な高校初日を終えた。


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