第19話 「桃介と風俗嬢の友達❶」👙
僕は、吉田桃介。足立区竹の塚生まれの元看護師。そして今は探偵助手だ。
今日僕は今回の調査で、初めて単独で行動することになりやや緊張していた。
丁度、木村さんが、神谷と東京芸術劇場で会っていた時間と同じ頃、僕は石川舞花と「CLUBリコリス」で最も親しかったという
そこは、池袋北口を線路沿いにまっすぐ5分程。傘を片手に歩く。財布一つをポケットにいれた身軽だ。愛紗は人気ランキング上位の風俗嬢で、実はネット予約に中々苦労した。何でもSNSの時代だ。本当に取れなければ直接時間を作ってもらえないかゆいかちゃんから頼んでもらおうかと考えていた矢先、予約は取れた。向かった先はいわゆる店舗型のファッションへルスだった。
余談になるけど・・・国内の風俗産業の市場規模は、年間5〜7兆円と言われる巨大産業で、正に日本は風俗天国だ。そして池袋は新宿と並びその中心に居て、多くの風俗業種がひしめきあってる。随分と前に何かのネットニュース見たけれど、20代〜30代女性のうち四分の一はなんらかのナイトワークの経験があるらしい。僕の周囲を見渡すと年々その割合は増えている気がする。
そこには、急速に進んだ日本の格差社会が必ず絡み合っていると、木村さんはよく熱弁する。かつて政権党は、日本を「一億総中流社会」にすると言っていたらしい。
しかしそれは、終身雇用の崩壊、非正規雇用の急速な拡大などなどにより跡形もなく崩れ去る。事実、日本人の実質賃金はこの何十年、物価は高騰してるのにもかかわらず、横ばいどころか逆に減っている。収入は少なくとも生活していかなくてはならない。誰もお金が必要だ。誰もが明日食べるおにぎりと雨を
しかしだ。風俗業ならば不安定ではあるものの、その他の業種とは比較にならないほどの高額な日給を稼ぎ出せる…。資格職や正社員でも低賃金な仕事って沢山ある。
そして、収入あるなし全く関係ない話、多くの娯楽や物に溢れ誘惑が多い社会だ。だからいつも皆お金がほしいんだ。お金はみんな必要だよ。人間の欲望も留まるところがない。お金のもつ魔力。そして怖いことは、お金は人を変える。そして風俗は、男と女、
いやごめん。そういう僕も池袋のホストクラブという水商売で働き、本業の探偵業の利益を
でもね、そんな僕みたいなホストがいることは、都市伝説くらいに思っていて欲しい・・・今のは僕の独り言だよ。
――――その店は優良店との評判通りで、受付のスーツ姿の男性が随分と印象良い対応をした。料金を支払い注意事項を説明されると、小部屋に案内される。
「ガチャ」
ドアを開くとベッドに一人、小柄で黒髪の女性がちょこんと横座りしていた。
透き通るような肌と、黒眼がちのくりくりとした眼が際立つ。テレビで観るアイドルグループに居てもおかしくないような端正な顔立ちの女性だ。
服装は、ミニのデニムハーフパンツと肩紐のあるビキニのような薄い白のブラウス。彼女の細身の身体を
僕は、少し体温の熱くなるのを感じた。目が合うと彼女は、クスリと、どこかイタズラ少女のような笑みを浮かべたのである。
❷へ続く
優しい探偵 RE
2024.5.2掲載
優しい探偵RE ▶「友達」 木村れい @kimurarei0913
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