第100話 現代人は冒険者ギルドに寄る
一通り日用雑貨の買い出しも終わったので、帰りに冒険者ギルドに寄ると学生服を着た女の子という明らかに浮いている存在が居た。どう見ても転移者なのでとうとう自分にも後輩が出来たのかもしれない。
というか人込みが出来てて凄い騒ぎだ。やっぱり可愛い女の子が冒険者ギルドに来ると野次馬が凄いね。まあ自分が「ちっす」と言えば野次馬達も「うっす」と言って退いてくれるからすぐにその女の子の近くまで移動出来たけど。
「適性はアサシンと……テイマーが同列で高水準です。どちらになさいますか?」
「それは簡単に変えるのは難しいですか?」
「そうですね、何日か経過してしまうと難しいですね。人によって差がありますが、転職を行うと基本的には身体に激痛が走り最悪死にます」
この世界の初めの方で聞いたテンプレ展開の台詞をもう一回聞いたわけだけど、懐かしいなあ。自分の場合、テイマーの適性があるって言われたからテイマーにしたわけだけど同列で何か秀でているのが無くて良かった。いやでも他に適性があってもとりあえず魔物を扱うような職業があるかは確認したかな。
というか何日か経過したら転職するのに激痛が走るって、たぶんレベルアップした後のステータスをレベルアップ前のステータスに戻すから激痛が走るんじゃないかな。……自分がこの世界に来てから丁度1年ぐらいだから、1年に1人は来てそうな雰囲気である。
「じゃあテイマーでお願いします」
なお女の子がテイマーを選択した瞬間、冒険者ギルド内はちょっとざわつく。あー、見た目は普通に可愛い子だ。女子高校生かな?
ちょっと原作知識があれば教えて欲しいと思ったけど、顔面偏差値の高い女子高校生が同人ゲームとか古いアプリゲーをプレイしているとは思えない。あと話しかけ辛いし、当分絡まなくて良いや。
「すいません!この中で強いテイマーの人は居ませんか?」
なお当分絡まなくて良いやと思ったところで向こう側から絡んで来る模様。この中で強いテイマーがいないかこの女の子が聞いた瞬間、一斉に自分の方を見たのでこりゃ絡みに来るな。何というか、コミュ力強そう。
「あの、私ふぁああ!?」
「よせ嬢ちゃん。あいつに話しかけるな」
「私が説明してあげるからダンジョン狂いの邪魔はしないで!」
しかし周囲の人が必死に引き留め、数少ない女性冒険者が基本的な説明をすると言って冒険者ギルドの奥の方まで連れ去ってしまった。恐れられ過ぎである。……まあ面倒だし放置で良いか。
「……トーヤと同郷?」
「恐らくな」
「強い?」
「格闘技やってる感じはしなかったし自分よりかは弱そう。何らかの武術をやってるなら自分が負けそうだけど」
アサシンにも適性があったってことは、何らかの武術をやってた可能性もあるし、もしかしたらゲームをやるタイプの子かもしれないけど、それでもこっちから話しかける必要性はなさそう。
「今日は何の用だ?」
「サウイマ商会からの売上金回収と城用の追加資材発注と内装出来る人の募集依頼」
「……城用の資材があれで足りてないってどれだけの規模の城にするんだ?」
「旧リトネコ王国の王都で見た城よりかは大きくなる予定」
今日冒険者ギルドに寄ったのは、城の内装工事を出来る人が募集した100人の中に少なかったので追加で招集するため、がメインになるけど資材の追加発注やら売上金の回収とかも同時に行っておく。……ただ箱を作るのと、中身を作るのとで結構違うようで内装は今いる人達でも出来ないことはないけど追加で人を雇った方が良いだろうという判断。
あとは今日来た学生服の女の子について、名前はニノサカササラさんらしい。ささら部分は漢字かひらがなか分からないけど、苗字はたぶん二ノ坂かな?結構珍しそうな苗字だ。まあ間違いなく転移者である。
今まで会った転移者は全員男性だったけど、この調子だと女性の転移者も居そう。……この世界の倫理観だと身寄りのない女性とか悪い人に見つかったら奴隷一直線ルートだし、ササラさんは幸運だったな。
転移者の最初の場所って結構バラツキがあるんだけど、それでもアリエルの街周辺が多い辺りは転移者を呼び寄せる何かがあるんだろうね。まあこの街にあるダンジョンが異世界ギルドストーリーのメインのダンジョンっぽいし……あの女の子は森の中スタートだったのかな。後でその辺の確認ぐらいはしておくか。
「各種素材の売却額の合計は400億円だが……一部がサウイマ商会に雇われていた男によって持ち逃げされていてな。一旦300億円は渡しておくが残りの100億円は少し待って欲しいとのことだ」
「むしろ今までよく持ち逃げが発生してなかったと思ってるしそれは仕方ない。仕方ないが……個人的に全力で探すわ。特徴は?」
「34歳の男性で身長は170センチ前後。細身だが元冒険者でそれなりに剣の腕もある。俺も会ったことはあるが、顔はちょっと特徴的だな」
「あとでアメシスト連れて来て似顔絵描かせます」
「……心読まれるのは勘弁して欲しいんだが仕方ないな」
サウイマ商会にて、どうやら売却金の持ち逃げが発生したようなのでその回収を手伝うことは伝える。シュヴァリエは結構犯罪者に厳しいらしいし、100億円の持ち逃げとか捕まえたらどれぐらいの刑罰になるんだろ?
……自分が法を無視する存在なのに、こう言う時だけ法に頼るのもアレだし盗んだ人に関してはシュヴァリエと交渉して私刑にしようか。というか自分の取り扱っている額が大きすぎて、こういう持ち逃げが発生したらそれだけで国を揺るがす大事件になっている。まあ自分のお金が奪われたのと同じだし、地の果てまで追いかけて捕まえよう。
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