第90話 現代人はショゴスを怖がらない

アメーバスライムからキラースライムやらデススライムという聞いたことの無かったスライムの進化形態を経て、Sランクのショゴスに進化したアメイチは、分身能力を有していたためにキューの時と似たような手法を使いSSランクまで強制レベリング。SSランクになるとショゴスロードとなったので、たぶんこれで最終形態。


当然スライム族らしく変型能力を有しているため、人型になれるけどどこかで自分の好みを受信したのか見事にロリ巨乳体型になっており、中々に犯罪チックな姿をしている。


「ご主人様の望む通りの姿になることが可能ですよ」

「あ、ずるい。私もそれ出来るのに」


スーも普通に変形できるから、パーティーには軟体生物が2人いることになる。……流石にショゴスロードにまでなってアメイチという名前はアレだし、正式な名前はアメシストに決定。ショゴスロードの元々の色は紫色だったし、ちょうど良いだろう。


で、何故かアメシストは自分の考えを丸ごと覗けるようなのでとうとうプライベートまでお亡くなりになった。表面上だけでも心の中読んで来る従者とか滅茶苦茶嫌なんだけど……そもそもの種族が奉仕種族だし大丈夫だとは思いたい。


あと、現実的ではないけど好みであったロリ巨乳は現実化した時にとてつもない違和感を覚えたので胸だけナーフするよう指示。子供体型って人が相手なら油断を誘える大きな要素だから、それだけでお得だと思う。


……二次では好きだったんだけどなあ。


これでパーティーメンバーはフルで埋まったので、後はダンジョン攻略を進めていくだけだけど流石に10人のモンスター娘が一緒のパーティーとなるとちょっと仲がイマイチな組み合わせとかも出て来る。


スーとかわりと今までエースとしてチヤホヤされていた分、新入りのアメシストにその地位が奪われるんじゃないかと不安になってそう。


あとムーが今は発声禁止状態なので新入り達とコミュニケーションが取り辛い模様。まあ身内の魔物達ですら発情させるし、発情させた瞬間に自分は死に至る可能性が激増するので声に魅了能力を乗せないよう頑張って欲しい。真面目に命がかかっている。


『……もう魔法で念話するしかないわね』

「それなら特に何ともならないし、ずっとそれで良いんじゃないか?

『ずっとこれはわりと疲れるのよ。魔力使うし』

「全員に伝えようとすると結構大変じゃからの。儂も1対多で念話するのは苦手じゃ」

「あー……キューが普通に使ってるから何とも思わなかったけど、キューは魔力多いし1対1での念話が基本だったか」


……まあ魅了が上がり過ぎてお面を付けるようになった時と同じように、変声機を作って常備すれば良い話ではあるか。問題は変声機の作り方が分からないことだけど、魔法で何とかならないだろうか。


「ちょっとレーニンさんと話出来る?」

「向こうの儂が移動するまでちょっと待つのじゃ。

…………『何か用か?』」

「異世界ギルドストーリー2でのエンプレスサキュバスの能力を知りたい」

「『は?いやクイーンサキュバスは出て来るが、エンプレスサキュバスなんて聞いたことはないぞ』」

「じゃあクイーンサキュバスの能力で良いから教えて」

「『別に良いが……クイーンサキュバスは職業を回復役にしても魔法剣士役にしても強いが、パーティーメンバーに男が居たら1人につき攻撃力、魔法攻撃力、MPが5%上昇する効果もあるから基本は魔法アタッカーだったな。あと、固有スキルの魅了の声は(自身の魅了ー敵の精神力)%で敵を魅了する効果だから色々な場面で役に立った。覚えているのはそれぐらいだな』」

「いやもう十分だわ。ありがとう」


一旦レーニンさんと会話をするため、キューに遠距離での念話を依頼。分身とは幾ら距離が離れても交信できるのは超便利だし各地にキューを置いておいた甲斐はあった。


そして異世界ギルドストーリー2について、スターリンを去ってから気になった点を確認していく。まずはあの人が何故かやたらと詳しいサキュバスについて、進化系統の能力を聞いてみたけどクイーンサキュバス止まりだった。これ異世界ギルドストーリー3とかがレーニンさん移転後に出たんじゃねーの。


その上で、本命であるショゴスに聞いてみるけど異世界ギルドストーリー2では出て来ない事を確認した。ということは完全に別物の作品が混ざっている可能性は高いか。異世界ギルドストーリー3というゲームがあるなら、それの新規登場キャラである可能性も結構ありそう。


結構この世界に転移して来ている人は多いし、原作知識を搔き集めたい気持ちもあるけど、知ったところで動き変わらないからダンジョン攻略優先で良いかな。マトンとアメシストの加入でパーティーの戦力は底上げされてしまったし、中列がローテーションを組めるようになったのでとうとう戦闘中でも休んだりのんびり出来る子が出て来る。


「ご主人様とスー様はこちらの車へどうぞ」

「おー、すごい。これますたーの世界の乗り物?」

「……本当に心読めるの表層だけなんだよな?いやまあ移動する時に何度か思い浮かべたことはあるけど」


アメシストが身体の一部を変型させて、車を作ったけどこれ思いっきりト〇タのア〇アだ。いやまあ自分が思い浮かべていた車がこれだったからこれになったんだと思うけど、内装がたぶん違うような……あっ、今修正しやがった。


しかも自分には親父の自動車の内装の知識しかないからそれにそっくりである。なんというか、読心能力と模倣能力の限界を知った気分。この微妙な落胆も読み取られているなら、凄く怖い存在だけどここまで来たらもう信用するしかない。

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