第80話 現代人は勢力を把握する

アマゾネス族の村はいくつも点在しているようだけど、全部見て回る必要性も感じなかったので全体で何人ぐらいいるか聞いてみたら人口の把握すらしていなかった。思っていたよりも未開人をしてるし、マウリス教国の蛮族扱いも納得ではある。


そしてこの後でエルフ族の方も確認はするけど、大体ある程度全体の勢力図は把握することが出来たと思う。ヒトラーさんやレーニンさんは、将来的には脅威ではあるけど現状だとそこまで怖くないしこちら側に何らかの干渉をしてくることはないと思う。正直核兵器が開発されるまでなら幾ら軍事技術が発展しても魔物達の方が上だしね。


あと自分達に干渉するなら家買った時点で文句言って来るだろうし。というか外国の人が家買えるのって結構危うい気はするんだけど……まあ大陸全体で共通の硬貨を使用しているから、財力での乗っ取りは難しいのかな。


過去に統一されたことがあるから単位も同じだし、何で分裂しているんだろうと思うぐらいには共通点がある。というか分かり合うための最大の壁である言語も一緒なのに戦国時代が続いているのは何というか……いやまあ人類の歴史上よくあることだけど。


……これ、日本語じゃないんだよな。気が付いたら話せている異世界語だけどたぶん過去の大陸統一を女神に願った時、聖帝の願いでそういう処理が為されているのだろう。人類の話す言葉がその時期に同一になったという逸話があるし、


ということで共通語を話せないアマゾネス族は人じゃないから蛮族扱いされてもしょうがない。マウリス教国の西にある国も言語自体は同じらしいし、それらの国と戦い続けることになったアマゾネス族やエルフ族が独特な文化になっているのも仕方ない。……逆に魔物娘が話せているのは人判定で良いのだろうか?


まあ一旦はエルフ族の村を見てから帰ろう。エルフ族はマウリス教国の真南にいるらしい。普段は南の前線にいる金髪スレンダー聖女の軍がいなくなったということで、ドンパチやってる可能性高いし面白そう。


ということでアマゾネス族の領域からエルフ族の領域へ行こうとしたら「エルフ族のスパイか」と戦闘になりかけたけど戦闘しようとした奴らをルーが一瞬で蹴飛ばしたので戦闘にはならなかった。というより、戦闘が一瞬で終わったと言う方が適切か。


そしてエルフ族の村は魔力値がやたらと高い人が多かったけど相変わらず言葉は通じず。便利屋キューの通訳がなかったらこの世界のエルフは滅んでいたんじゃないかと思うぐらいには敵対的だったしこっちもあっちも全員目が怖かったよ。


何ならマウリス教国の部隊と交戦していたし、人族が憎い系エルフが多く居た印象。長寿の人も多いっぽいけど友達にはなれなさそうだ。頑固な人が多い感じかな。ついでに言うと、アマゾネス族より武闘派というか戦える人が多そう。まあ異世界ギルドストーリー2では世界滅ぼす側の種族らしいしこの世界で寿命が長いなら強いのは当たり前か。


そんな中、1人のハーフエルフっぽい女の子というか幼女が戦地で犯されそうになっていたので一応助ける。自発的な行動じゃなくて、ローから「助けたいです」みたいなことを言われたから助けさせた。犯そうとしていた男達は全員頭を踏みつぶされ、一瞬で絶命したからめっちゃ怖かったわ。


「……何で助けたの?」

「美味しそうだったので」

「ヒィ!?」

「……冗談ですよ。ただお兄さんがこういう子を好きなんじゃないかって思って」

「ええ……?何度も言うけど幼女を犯す趣味はないぞ?」

「この子たぶん20歳超えてますよ?」

「ああ、じゃあ半分ストライクゾーンには入った。

とは言っても手は出さんぞ」


とうとうローが、自分の趣味を特定してその通りの女を献上してくるけど狂信的過ぎないか?あとハーフエルフの子はローの召使いになったけど自動的に自分の召使いにもなったんだよな。もう何かパーティーメンバーが勝手に増える。


マザーフェニックスのハルはプチフェニックスを結構な頻度で産むし、スーもナージャも相変わらずスライムやスネークを産むし、子供の魔物達は普通に自分達について来るからもう魔物達の大規模な移動になっているんだよ。……自分の領地というものがあって良かったな。最終的にはあそこに放り込めばいいわけだし。


プチフェニックスがスネークやスライム達について、抱えて移動出来なかった分は現地に取り残されているわけだけど、たぶん狩られてるかな?まあ弱肉強食な魔物達の価値観だと、そこまで気にしないものみたいだし大半は連れて行けてるから問題ない。


「……家の掃除とかを任せられるメイドみたいな存在は欲しかったからコイツで良いか。お前ら家事しないもんな」

「最近は自分で食べる分をお皿に盛るようになったよ!」

「ああ、そういえばそうだった。ついでにそのお皿を洗ってくれると嬉しいんだが」

「……水は私が出してるもん」


何というか、このハーフエルフの子がずっと震えているのを見るとたぶん今のこの環境ってとてつもなく恐ろしい状態なんだろうな。まあ自分は今の態度や関係を崩す気はないし、魔物達側も崩したくない意思を感じるからこのまま先延ばしに出来たら良いな。

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