第77話 現代人は日本の食事が好き
スターリンに来た目的として、ヒトラーさんに会うことと首都にある未踏破のダンジョンに潜ること。あとはもし原作知識があれば回収する、を目的にしていたけど、あっさりと全部叶ったので計画はもう少しちゃんと立てるべきだった。やることがねえ。
……ストーリー部分について、あの2人はこの世界に来て数日や数か月の段階でメモをした紙とかも見せてくれたけどあやふやなところも多いんだよな。まあ嵌っているゲームでもストーリー部分をちゃんと整理しようとすると暗記部分だけでは結構苦しい気がする。
そして彼らがこの世界に転移して以降に出たゲームについては、当然ながら把握していない。まあ複数の世界が組み合わさった世界ということは把握しておこう。
……基本的に物語ってどうやってもインフレするからな。少なくとも魔王や天使達と戦うのは確定だし、未知の存在も出て来る可能性は高そう。
ただ、1つだけ良い事を聞いた。シュヴァリエと花騎士も、異世界ギルドストーリー2も、基本的にハッピーエンドで終わるらしい。またヒトラーさんの方は作者さんと会話をしており、作者がハッピーエンド厨であることを知っている人だった。
それ以降に性癖がねじ曲がっていなければという前提条件は必要だが、物語の邪魔をしなければ基本的にハッピーエンドになる可能性は高いということだな。
……やばい、既に邪魔している気しかしない。というかこのスターリン自体が原作ぶっ壊すの前提で建国されているし、原作通りに進めるということは無理だな。まあシュヴァリエと花騎士の方は最後の魔王に関して、例の目隠れ王子が倒せるレベルだから何も問題は無い気がする。
とりあえず全部放置してダンジョンに潜っても良さそうなことが判明したし、良い気分転換になったからしばらくここに滞在した後はアリエルの街に帰ってダンジョン攻略進めていくか。九尾から先がどうなるのかとかも気になるし。あの女神は無限に強くなっていく仕組みとは言っていたけど、レベル上限がなくなるとかかな?
ヒトラーさんやレーニンさんとの話し合いが終わり、自分はとりあえず国際情勢に関与する気はない方針だけ伝えて首都のスターリングラードの探索を行う。区画整理はされているから観光客向けの大通りとかもあるんだよね。地味にぼったくり価格なのはご愛敬。
まあ地元民向けに売られる魚丸々1匹が500円なのに対し、観光客向けの外食店で出される魚の切り身を焼いただけのものが1500円程度なら目くじら立てるほどでもないや。というか海岸沿いの都市だから魚介類が豊富だな。……なんかよく分からないエビっぽいものも売っている。上半身がエビで下半身が魚って感じだ。
「蟹が8匹で1000円!?
すいません!この蟹あるだけ下さい!」
「はいよ。
……100匹以上いるけど全部買うのかい?」
「はい」
わざわざ高いところで買いたくないし、この国に住んでいる人というか家を持っている人は地元民向けの魚屋を利用できるそうなのでそっちでお買い物をしていると蟹が格安で大量に売られていた。まだ生きてるし鮮度抜群だな。いや別に8匹1万円だろうが10万円だろうが今の懐具合だったら蟹を見た瞬間に買っていただろうけど、1000円は安すぎないか?
そしてまとめ買いした蟹をスナック感覚でバリバリ甲羅ごと食べるルーやハル。甲羅をジュワアアと溶かして食べるスーやアル。魔物の価値観は時々分からなくなるが、まあ美味しいようで鍋にする前に結構な量が消化された。
「さっき生で食べていたのに鍋のも食うのか。別に良いけど」
「美味しいもん。あとこのしょうゆ?っていうの美味しいね」
家に蟹を持ち帰って鍋にすると、先ほど生で食べていた組も鍋の蟹を貪る。自分が殻を剥いて食べ始めるとルー達も真似して殻を剥いて食べ始めたけど人間の真似事をしてくれているのかなあ。
個人的にヒトラーさんの偉業で一番評価したいのは、醤油の開発に成功していることである。まあ風味とか色々と雑な気がしないでもないが、醤油ですと出されれば醤油だとは思える味である。
お酢の開発も終了しているお蔭で異世界なのに蟹を酢醤油で食べることが出来る幸せ。……米はある世界だし、日本酒作ってたらお酢も作れるものなのかな。お酒に関してはもう少し経ったら飲もう。不老だからもう歳を気にしなくて良いと思うし、この世界だと子供もお酒飲むからね。
唯一お酒の年齢制限があるのはマウリス教国で、そこでも15歳からは解禁なのでお酒に関しては緩い世界である。……魔物達にアルコールを摂取させるのは怖いけど、酔っぱらうものなのかな?酔っぱらったらいよいよ自分の命が危ないんだが。
……スターリンには味噌まであるけど味噌はなんかただのしょっぱい塊だったので何かが違うと言える。滞在中に技術を学んで、自家生産出来るようにしたいなあ。それか職人を札束で叩いて持ち帰るか。最悪菌を買えれば作れるはずだから、その辺は交渉しようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます