第60話 現代人はスライムが好き

装備が重要なこの世界において、一番強いのは装備を沢山持てる魔物と仮定したところで、うちのパーティーで賢い方であるキューとローも交えて次に入れる魔物について考える。……ルーも賢いはずなんだけど考えるの嫌いっぽいから参加はしない。稀にいるよね。頭良いのに考えること自体が嫌いな奴。


「最終的に、10体の魔物が限度だと考えると次の9体目はとても重要なのじゃ」

「ん?使役枠って10が最大なのか?」

「そうと決まっているわけではないのじゃが……過去のテイマーの最高記録が10体だったはずじゃ」

「ああ、それなら9人目はめっちゃ重要そうだな。……流石に自分が過去全てのテイマーより才能が上とは思ってないし」

「お兄さんは装備を多く持てる魔物が良いと言っていましたが、それなら今までに会った中だとショゴスが最適だと思います」


そしてローがショゴスの名前を挙げると、キューも賛同してくるけどスーと被らないかそれ?いやでもショゴスが滅茶苦茶大きかったから、不定形で指輪とか腕輪とかの小さい装備詰め込むならショゴスが最適解になるんだよなあ。


物理攻撃にも魔法攻撃にも耐性高かったし。前列に出してないだけで、スーも同じように耐性自体は高い。……ショゴスにするかあ。問題は、どうやったらショゴスに進化するかだけど。


恐らく、属性毎の進化をさせていては駄目なのだろう。たぶん全員スーやスライチみたいなスライム娘になったり、スラニのようにスライムの姿のまま魔法の固定砲台になる。


ということは、フェアリーナイトみたいに何らかのステータスを上げた状態で進化させるか、もしくは特定の装備をさせた状態で進化させるか、特殊な条件があるか。進化させるときに進化可能じゃないものも全部表示してくれたらよかったんだけど、あれ進化可能の選択肢しか表示されないからな。


まだ進化をさせていない100体のスライム(レベル1)を用意し、スライチの炎属性魔法で全員の耐久度を測定する。……魔力と同じく、たぶん耐久性能も個体差はある。自分が見れるのは魔力だけだったから今までは魔力を最優先事項にしていたが、他のステータスも項目自体はある以上、攻撃力や防御力の数値というのはそれぞれ持っているのだろう。


全員を一斉に火で炙ると、やっぱりある程度の個体差はあるようで倒れるまでの順番に明確な差はあった。その後はちゃんと回復をさせたのにスライム達にはちょっと距離を置かれるようになったが、とりあえずスラ257は耐久力が飛びぬけて高かったことは覚えておこう。将来的に、使役枠が空いたらとりあえずはあのスライムを育てる。


一応、スーの使役下にある魔物なので魔物商店で買った時と同じように引き渡しが可能だ。一からテイムする必要がないのは助かる。後は自分のレベリングについてだけど、100階の光の玉について、攻撃手段はスーと同じく光線だった。


威力の方は高いけど、範囲は狭いから盾で防ぎきれる程度だし例の黄金の盾なら反射が出来る。座標固定してなかったらたぶん吹き飛ばされてるなこれ。魔力込めるだけでその衝撃を無効に出来るのは神装備。


……そして光の玉でありながら、光属性魔法に対してそこまで高い耐性を持っているわけではない。スーの光線一発でダウンしてしまうぐらいだしね。ボス敵ということで1日に1回しか倒せないけど、経験値はボス敵なだけあってかなり多いように感じる。

というわけで、ルーが注意を引きつけて光線を撃たせ、それをルーは避けて自分の持つ盾で反射させる。この反射ダメージ、中々に威力があるのでかなり経験値を稼げるはず。


大きな盾の影に隠れている状態でも正面の景色が見れるよう、盾の裏側にキューの照魔境も設置。八尾に進化した際、案の定貫通効果が付与されたので直線状の景色であればどこまででも見ることが出来る。


いや、距離に関してはマウリス教国まで届かなかったから数百キロ先は難しいか。でもこれなら女湯とか覗き放題だよ。照魔境使ってる時は基本的にキューが隣にいるからR18方面は見れないけど。あと服の中を覗こうとして臓器が見えたのは若干トラウマ。


直線状に障害物を無視してどこまでも見れるということで当然、盾の向こう側を見ることは出来る。なのでかなり安全に光線を反射させることが可能。今回、全部反射ダメージだけでボスを倒したら自分のレベルは30レべから一気に33レべまで上がった。これは経験値が美味し過ぎる。


使役枠も8から9に増えたから、今日のダンジョン探索が終わったらスラ257を使役枠に入れてショゴスへの道を模索していこう。攻略サイトが欲しくなるけど自分で検証していくのも嫌いじゃないし、こういう未発見の進化を探す作業は好きなのでこれからが楽しみだ。


……ちなみに残念ながら、あの光の玉について、2回目以降にあの女神とエンカウントすることはなかった。まあ何度も願いが叶うなら「願いを複数個叶えさせてくれ」という願いに対して叶えた後に姿を消すという行為はしないだろうし、1度きりだったんだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る