カード学園サヴァイヴ ～カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる～

IFエピローグ１ やっぱりシャルナと

　２章エピローグ１の別Ver。本当はこの時点でシャルナ呼びに変わる予定でした。ただ、先の見通しがつかず、本当に変えていいのか断定しきれなかったため、結局シャル呼びのままに。思い切っても良かったかもしれない。

　イベント後。

　３日間の休日を挟んだのちの登校日。通学路を歩く隣のシャルナが思い切り背を反って伸びをする。

「うーん……まだ疲労感、あるね」

「そうだな。本当、濃密なイベントだった。まるで数か月間戦い詰めていたかのような疲労感だ」

「そだね。戦い以外にも、色々あったしね……」

「……そうだな。色々、あったな」

　玄咲はシャルナに視線を合わせない。ちょっと前方上空を見上げながら言った。

「シャルナ」

　と。

「……うん」

　シャルナは嬉しそうに頷き、玄咲と同じ方向を見上げながらしみじみと呟いた。

「シャルナ、だよ……」

　――シャルではなくシャルナ。それが2人の進展した、そしてこれからの関係性の象徴だった。語尾に一文字増えただけで。それだけで、意味が、響きが、より甘やかに、親密に変じる。その言葉の不思議にドギマギしながら、玄咲は再び呼んだ。

「……シャルナ」

　最愛の友達の名前を。やはり嬉しそうに玄咲を横目で見上げる。

「なに？」

「君がいてくれて本当に助かった。ありがとう。愛してる」

「……うん。私も」

　シャルナが手を握ってくる。そして５指を絡めて、

「愛してる……友達、だけどね？」

　言ってから、誤魔化すようにはにかむ。すっかりシャルナの口癖と化した友達。それが、重すぎる愛を扱いかねている、そして自分の衝動と戦っているシャルナの精一杯のラインなのだと、今では玄咲も理解している。友達でも良かった。こんなにも幸せなら、不満などあろうはずもなかった。

(一生、友達でもいいかな。シャルナとなら)

　ふと、そう思った。別にその心の声を聞きつけた訳でもないだろうが、シャルナが。

「あ、でもね。玄咲」

　他の生徒に聞かれないように、耳打ちする。

「堕落衝動ってね、心が強ければ抑えられるの。事実、お母さんは抑えてた。そんなところも含めて、お母さん大好きなの」

「う、うん。シャルナは本当にお母さんっ子だな」

「不滅の愛情だよ。それでね、私がね、もっと人間レベルが上がって、衝動抑えられるようになったらね、そしたらね――」

　――恋人に、なろ。

　――今日も幸せな一日が、始まる。