ニート配信者、引きこもって生活したかっただけなのに、うっかりダンジョンで無双してしまう ～魔法使えるのワイだけってマジ？～

第25話取材

　ダンジョンキングダムの3人が去ってから、今度は海藤姉弟が駆け寄ってきた。

「アニキ！　良かった……心配したんすからね、本当に……」

「アタシは……心配なんかしてないわよ、アンタのことなんか……いや、そりゃあちょっとは……ってウルサイ！！！」

　海藤弟はワイの手を掴んでブンブンと振ってきた。

　海藤姉、『ウルサイ！！！』って、ワイ、何も言ってないやん……。

　和やか？　な雰囲気の中で綾瀬さんがある提案をしてきた。

「4人でこれから食事に行きませんか？　本当は2人で行きたいんだけど……って、今のは聞こえてないかな……剛力さんが帰ってきてくれたし、お祝いってことで」

　綾瀬さん、4人で食事に誘ってきたけど、その後何かボソボソ言ってたな……聞き取れなかった……別にお祝いなんていいけどな……トラブルに巻き込まれるのが平常運転だし、ワイの……。

「よつば、気持ちは分かるけど諦めな？　周り見て……」

　ん、なんだ、海藤姉……海藤姉が促すままワイも周りを見回してみる。

　マスコミ各社に囲まれていた。

　世界各国の。

「今日の主役はコイツだよ。アタシらは関係ない。行くよ、2人共」

　海藤姉は、2人の腕を掴んで連れて行こうとする。

「え～、ご飯行きたかったな……剛力さんと……」

「オレもッス！！！　よつばさん……てか、離せよ、アネキ！！！　腕折れるだろ

　！！！　ゴリラ！！！」

　2人は海藤姉に連れていかれてしまった。

　シャルロッテさんに連れていかれたベティーナさんみたいだな……。

　それよりもワイには目下の懸案事項が……。

　マスコミに囲まれている。

　コミュ症のワイが……。

　何台カメラとか、人おんねん……。

　配信者始めた頃より、雑談配信とかして多少は慣れたけど、今回のは規模が違い過ぎる……。

　マスコミ対応とか分からんし、外国語で話しかけられても分からんで、ワイ……。

「いかがでしたか、剛力さん？　魔石の威力は？　凄まじいパワーに見えましたが」（英語）「今後魔石は普及していくと思いますか？」（イタリア語）「使い心地はいかがでしたか？　安全性についてはどうお考えですか？」（スペイン語）「金額と、今後もたらされる利益は妥当でしょうか？　ダンジョンライブ社から公表されている価格は高過ぎる気がするのですが？」（フランス語）「何故貴方が世界初魔石をダンジョン内で使うことになったのでしょうか？　今後ご自分のチャンネルで使う予定は？」（ドイツ語）「何故配信中叫んでいたのですか？（韓国語）「確かに……魔石を使用することによる副作用ですか？」（中国語）

　やっぱ外国語か……全然分からんな……質問の量も多いし……。

　マイク近すぎ……てか、当たっとるがな……イタっ……。

「え、えっと、ワイ、いや僕は外国語はサッパリでして……イタっ……マイク近いんですよ……痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、てかワイは聖徳太子か！！！　そんな一遍に話しかけられても分からんっちゅうねん！！！」

「………………………」

　やってもうた……今まで必死に猫かぶってきたのに本性現してもうた……。

　しかも世界中の人の前で……。

　完全に社会的に終わった……。

「今のはどういう意味ですか？」（英語）「今のはマスコミ批判ですか？」（フランス語）「タイシショウトク？　どなたですか？　何故その方の名前を今出された？」（イタリア語）「痛ないやろ！！！　我慢せぇ！！！」（関西弁）

　マスコミはヒートアップしていく。

　もう、どうしたらいいか分からん……。

　と、そこで、

「マスコミ各社様、剛力氏への質問はダンジョンライブ社運営が承ります」

　ダンジョンライブ社専務の島本氏だ。

　島本氏はワイへの質問を代わりに答えてくれるようだ。

　思わぬところからの助け船だ……。

　島本氏は何か国語飛び交っているか分からない現場で、その全てに答えていく。

　嫌な女としか思っていなかったが、流石世界4位の超巨大企業の専務だ。

　つっても、ワイは外国語分からんから本当に島本氏が各国の外国語で答えてるか分からんけども。

　島本氏はワイに目線で先に行くよう促したので、「失礼します」と頭を下げて、ダンジョンを後にするのであった。