ニート配信者、引きこもって生活したかっただけなのに、うっかりダンジョンで無双してしまう ~魔法使えるのワイだけってマジ?~

新条優里

第1話ニート、ダンジョン配信者になる

 ワイ、剛力剛毅ごうりきごうき。絶賛家族からニートであることを責められております。


「剛力家の恥が! いつまでも引きこもりおって!」


 父上、言い過ぎではないですかな……。只、ワイは静かに暮らしたいのでございますよ……。


「そうね~、働いてくれたら助かるのだけど」


 母上、そうしたいのは山々なのですが、ワイは生粋のコミュ症なのですよ……。


「おいおい、しっかりしろよ……。ニートとかまじかよ……」


 兄上、申し訳ない……。これが現実なのですよ……。


「あ~あ、ダンジョンで一攫千金してくれたら助かるんだけどね~」


 姉上、申し訳な……、ん、ダンジョン……? それだ!


「ワイ、ダンジョン配信になって、おまいら、楽させてやるよ!」


 家族、全員からの冷ややかな視線。こいつ、何言ってんだって顔。まあ、そらそうか、現在進行形でニートなわけだし。


 本当に、ダンジョン配信者になりたいわけじゃないけど、家を追い出されるわけにはいかないからね。


 ダンジョン配信者。ここ数年、人気の職業。ダンジョンに潜って、主にモンスターを狩る様子を撮影し、視聴者に見てもらう職業。


 個人勢や、企業勢がおり、広告収益や、スパチャ(視聴者からの投げ銭)で生計を立てている。

 企業案件もあり、企業が勧める道具や、装備を紹介すると、数百万円単位のお金が入ってくる。夢のある職業だ。


「はあ? そんな簡単なもんじゃないでしょ……。大丈夫……?」


「そっちが、やれっつったんだろ! すぐに人気配信者になったるわ!」


「冗談に決まってるでしょ……。早くまともな職につけっての。てか、アンタに一番似合わない言葉だわ、人気って」


「ダンジョン配信者がまともな職業じゃないって? 職業差別です~」


「アンタと喋ってると疲れるわ……」


「本当は堅実な職業に就いてほしいが、責任を持ってやれるのか?」


「私も、堅実な職業に就いてほしいけど、アンタには無理そうだしね……」


「男に二言無し。やってやんよ!」


 なんて覚悟は無いけど、住む家なくなるなんて目にはあいたくないしね。

やるしかない。

 母上からの痛烈なディスは結構効いたけど……。


 翌日、旅立つことになり(つっても、ダンジョンに潜りっぱなしじゃなくて、こまめに帰ってくるつもりだけど)、母上から装備品と道具を頂き申した。

 薬草一つと毒消し草一つ。粗末な服。5000円。武器は剣道部時代に使っていた竹刀。

 即全滅必至って感じやな。


「見といて、S級モンスター狩りまくって人気配信者の仲間入りや」なんて自分を鼓舞してみたものの、足はめちゃめちゃ震えてた。

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