第12話 ルナちゃん
*
お家に帰って朝ごはん!昨日みんなが食事しているところを見て箸の使い方をマスターした勇者。綺麗に白米を食べます。
そしてお味噌汁を一口飲むたびおっさんみたいな(中身おっさんだけど)声を出します。喘ぐな。
そうして朝食を食べ終わったら、しっかり歯を磨いて、休む間もなく車で駅に向かいます。アカネお姉ちゃんと一緒に、ママとパパを見送るのです。
「カ〜エ〜デ〜?ママとパパがデートしてる間、ちゃんと宿題やるのよ〜?」
「ああ、大丈夫だママ。昨日は絵日記を一枚終わらせた。今日はこくごプリントをやる予定だ」
「偉いじゃないかカエデ〜!じゃあパパがお土産にカエデの好きなイクラを送ろう!クール便で即日母さんの家に!」
「いくら!あれはいい。まるでコーヒの実のような見た目なのに噛んだ瞬間口内で踊る水飛沫!濃厚な旨味が脳をぶるぶる震わせる!いくら大好き!」
おばあちゃんもイクラが好きらしいから、届いたらイクラパーティーだ!やったね
「もーパパったら甘やかして〜。……ちなみにアカネちゃんはスイーツとかの方が嬉しい?」
「えっ!?いや、そんな。申し訳ないです!」
「遠慮しないで!食べたいものない?」
「ええと……じゃあ、バターサンドとか……?」
「いいわね〜美味しいわよね〜」
そんなこんなで駅に到着。ママとパパはここから空港にGO
「じゃあアカネちゃん。カエデを頼みます。バターサンド待っててね!」
「カエデー、ちゃんと母さん達のお手伝いするんだぞー!」
2人は改札に吸い込まれていくのでした。
「……さて、帰って宿題の時間だな。車に戻……勇者?」
「おお……おお!これが異世界の文明!車から見えてはいたが、駅という
猪突猛進、駅攻略を始めた勇者。完全に迷子になるコースだこれ!
「先程動く階段を上り現在のフロアに来た。つまりここは2階。だがフロアマップは1階にあるのが定石。来た道を戻り、まずは1階の踏破からだ!」
エスカレーターを駆け降りる勇者。たまたま人が乗ってなかったとはいえ走っちゃダメだからね、危ないよ。
「よし1階。先程横目で見えてはいたが、これは……露店か!?
「これは何だ?どれどれ……む!?透明な結界!?結界で商品を保護……画期的だ!盗人もこれでは手を出せまい!しかし、結界で守らなくてはならないとは、これは小学生では手の届かない品とみた。ままどおる、か。包み紙からしておそらく王族などに献上されるモノだろう。ふむふむ」
お土産屋をうろつく迷子の
アカネお姉ちゃーん!早く来てー!
「マップマップ……む、一段と輝く部屋があるな。こういった場所では少し強い敵が出てくるが、倒せれば良いアイテムが落ちる。今のカエデくんで太刀打ちできるのか……ふふふ。強敵が我を呼ぶ……」
ふらふらゲームセンターに吸い込まれていく
ウィンウィンチカチカドンドンドン。
いろんなゲームの音に囲まれて勇者は目を白黒させています。
「赤と青の球体が流星のように流れていく窓、それに呼応するように楽器を叩き演奏を行う人々。なんだ、ここは祭の会場だったのか。この世界でも祭は賑やかで良いな。しかし随分と激しい曲だな、叩いている残像しか見えない。あの奏者只者ではない……噂に聞く、神の吟遊詩人というヤツだろうか?ふーむ」
「な、何をしているのだあの人?結界の中のアイテムを魔物が掴んで……落とした。いや、魔物を操っているのがあの人なのか?何故そんなことを?……ハッ!あれはもしや呪いのアイテムで、人間には掴めないから魔物を使って取ろうとしている……!?この世界でも
そうして色々なゲームを見て回る
「しかし祭には様々な人が集まるな……もしかすれば、ここには我の仲間達も──」
「きゃあ!?」
ああ、やっぱりぶつかっちゃった!
チャリチャリあたりに散らばるメダル。早く拾ってあげないと!
「も、申し訳ない!よそ見をしていた!怪我はないか!?」
「うぅ……ルナのメダル……」
「ああ、銀貨か!すぐに拾おう!」
メダルを手早くかき集める
そんな
「大丈夫だ。落ちた方向は目視で確認済。全て回収して君に──!?」
「……か、か」
顔を上げた
「カエデくん!やっぱりカエデくんだぁ!福島にきてたんだー!元気だった!?」
「……ムーン。我がパーティの僧侶、ムーン!君なのか!?」
「そ、そうりょ?よくわからないけど、元気そうでよかったー!」
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