サマー・エイジャー
瑞崎はる
プロローグ
第0話 永遠
―――――思い出は美化されるという。
―――――思い出は変わらない。
それぞれの胸の奥で、誰の目にも触れることなく永遠に埋もれ続ける輝かしい宝物のように…
その電話は友の訃報を告げるものだった。
誰よりも真っ直ぐな男だった。
死ぬその瞬間まで、悪を許せなかったのは、犯罪者となり、家族の全てをめちゃくちゃにして、家庭を崩壊させた彼の父親を反面教師にしていたのかもしれない。
【後悔しないように生きる】
目の前で暴漢に襲われている女性を救うことが、君にとっての後悔しない選択だったのだろう。とても腑に落ちる。君はそれで良かったのかもしれない。しかし、もう僕らが四人揃って会うことが出来ないというのは寂しいじゃないか。君と一緒にあの日を懐かしむことが出来ないのは本当に残念なことなんだ。
【君がそばにいれば、僕は何も恐れない】
あの時は幸せだとは思わなかった。
ただ苦しかった。
無我夢中で生きていた。
けれど、今思えば眩しいくらいに
…そばに君がいた。
思い出すと切なくなる。
もう戻らない時間。
もう会えない君。
…忘れない。君といた日々。
―――――少年でいられたあの夏を。
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