第6話 池永直美 生涯のライバル!
立ち枯れたどんぐりの木に瀕死の枯れ葉がしがみつき、それを落とさんばかりにカラカラと渇いた風が吹いていた。
「今からレディース紅生姜(べにしょうが)を解散する!」総長の宣言で中型バイクに股がった総勢が愕然として174㎝あるショートボーイッシュの庄屋三崎(しょうやみさき)総長を見詰める360度の輪の中心に向かった円形の視線に刺された直美はグルリと部下を見回し、「そう言う事で皆に集まってもらった。じゃ、気いつけて帰れよ?」
「待ってくれサキ総長!」
三咲が背中を向けた時、一台の大型バイクから降りた池永奈緒美(いけながなおみ)が問い質し、威嚇する中型バイクを縫うように三咲に近付きロンドを描いて見守る少女達の方へ大声で内部告発をした。
左胸のユニオンジャックが膨らみ煌めいていた。
三咲よりも長身の奈緒美が三咲を見下ろして華奢に見える三咲を睨みながら、「おいみんな、重大な報告だ!」全員に聴こえるように視線を外さず大声で拡声していた。
左胸のユニオンジャックが踊る!
「こいつ男が出来たらしいぜ?」
「ナニー? やんのかコラ!」間髪入れずメンバーが反応した!
ヒュー!ヒュー!ブォン! パラリラパラリラ! クラクションと指笛やヤジが二人を挑発していた。
奇声やカラ吹かしが斜めに横に跳んで行く!
バイクのアイドリング音より大きい怒号が鈴蘭の丘と鵯越墓園に鳴り響いていた。
「なんだ、マジかよ!」冷静に思考を凝らし、ガッカリした声が多かった。
「オトコに焼き入れろよ!」憎しみを込めた睨みの視線が三咲に刺さる。 愛するケンを守る! ソウルが燃えていた!
「タイマンだぞサキ!」ケンカの女帝、庄屋(しょうやみさき)が構えた! 両耳のタブが露出して右に左に蝶の様に暗闇に踊っていた。
「来いやサキ!」バン!
三咲が防御する前に池永奈緒美の右回し蹴りの痛烈なトゥーキックが三咲の左腰上の横腹にめり込んで腰まである黒いストレートが翻っていた。
「グアッ!」ガクリと左膝を突いた!
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