第4話 鈴蘭の丘

等間隔に並ぶ墓石には過去の生き様を反映させた威厳がある。

チラチラと粉雪がちらつく真夜中の鵯越墓園のパーキングの隣地に鈴蘭の丘パーキングがあった。

 白地に赤の旭日旗を背負った赤いライダースーツの一人を中心に丸く円を描いた戦闘服十七名が跨った中型バイク十七台が威嚇する。

 バォン!ブォンブォンブォンブォン! 素早いハーフスロットルで指を離して元に戻しアクセルをムダに回した中型バイク十七台の空吹かしの下品なエンジン音と、鈴蘭の丘パーキングに停めた青いナナハン一台に跨り静観している者は、腕組みをしていた。

 誰も居ない右隣の同じナナハンのアイドリング音をベースにリズムを取りスポットライトの様な十七個のヘッドライトで賑わっていた。ロンドを形成していた。

 

 鈴蘭の丘は一里山の北斜面を開発した切り土、盛り土の成果で出来た墓地と丘陵を利用した草原の台地を若者受けする高台が、初日の出暴走を敢行する格好の暴走族の聖地となっていた。

 全員フルフェイスを脱いでいた。

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