旅行

rouF Love(らふらぶ)

旅行

 母と旅行に行った帰り、ロング缶の酎ハイを二本とスナック菓子をコンビニで買い、飛行機の発着ロビーで二人でんでいた。

 母が「こうやって二人でお酒飲んで旅行できるのが楽しいね」と言ってきて、急にノスタルジーに襲われた。


 母は私を幼少期の頃からよく旅行に連れて行ってくれた。車で近隣の県へも行ったし、飛行機や新幹線で遠くへも行った。母子家庭でさほど裕福でもないアパート暮らしの生活だったが、私に不自由はさせず、母は自分のものだけ切り詰めて過ごしていた。その切り詰めた余分を、さらに旅行という形で私にぎ込んでくれていた。

 そこまで献身的にしてくれた旅行であるにもかかわらず、私はよくわがままを言っていたのだ。疲れた、あれが欲しいと言い、叶わなければ不機嫌になり、車移動のときは助手席で眠り。それでも基本的に嫌な顔一つ見せずに、ただ私が楽しめることを一番に考えて、慣れないスマホを使いナビをして、旅行に連れて行ってくれた。


 二十歳はたちになって初めての旅行。行き先のナビやネットを使った下調べなど、スマホを使うようなことは率先して私がやり、帰りには一緒にお酒を飲む。今までの母が完全に報われたとも思えないが、少しでも楽な、母も楽しめるような旅行ができただろうか。

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