第14話 京都奈良全力ふたり旅―龍安寺


 きぬかけの路。金閣寺から龍安寺を通り、仁和寺まで続く散策路をせっせと歩く。


 立命館大学の前を横切り、小さな山(車道に沿って歩くので舗装されてます)を越え約20分。龍安寺の駐車場が見えてきた。


 敷地に入ると茶屋があったので、少し早いがお昼ごはんを食べることにした。


 私は平気だが、連れは腹が減るとダメなタイプなので、休憩できそうなところがあれば腹は膨らませておきたい。


 ただでさえ暑く、歩いてきたためさらに汗だくであったが、きつねうどんが私を呼んでいる。


 初めて京都できつねうどんを食べた時は衝撃的ですらあった。出汁文化なのは頭では分かっていたものの、実際に食べるとめちゃくちゃ美味しい。それに比べて関東は……美味いんだけど……雑。


 甘めのお揚げさんから出汁がじゅわーっと出てくる。うまぁい。汁まで飲んじゃう!


 ふと見ると、韓国系の2人組のテーブルに次から次へと料理が運ばれていく。そんなに食べられるの? と驚愕していたら、あとから三人ほどお仲間が来た。


 テーブルいっぱいの料理を前に、誰が何を頼んだのかパニックになっている。それはそれでおもしろかったが、確かに写真だけで料理選んだら分からなくもなるよね。


 腹ごしらえも済んだので、拝観料を支払っていざ、あの有名な枯山水の石庭へ。


 驚いたことに、連れは龍安寺が初めてだという。修学旅行の時は一体どこに行ったのだろうか。


 入り口から入ると大きな池があり、睡蓮が蕾を付けていた。もう少し早い時間に来ていればもしかしたら咲いていたかも。


 こちらも有名な観光地のため、もっと混雑しているかと思いきや、こちらは金閣寺のような混雑はなく、外国人は多かったがみんな静かに見ていく方ばかりだった。なぜ金閣寺だけあんなことになっていたのか……。外だから?


 池をくるっと半周ほどし、階段を少し上がると龍安寺が見えてくる。石庭へは靴を脱いで上がる。左手に石庭、右手には見事な龍のふすま絵があり、石庭の縁側は座るところがなかったので先にふすま絵を鑑賞した。


 実はこのふすま絵、今年の春に特別公開された龍雲図襖絵というもので、描いたのは元内閣総理大臣の細川護煕ほそかわもりひろ氏であった。


 政治家やってた人がこんな絵を描けるの。逆になんで政治家になんてなったの。ちょっとこの絵はすごいです。一見の価値有り! 


 なんて思っていたら、縁側に空きができたのですかさず座る。


 石の数、今日も14個。何回来ても14個。でも近くに置いてあるミニチュアを見ると15個あるんだよなぁ。これは毎回不思議。なんで見えないんだろう。遊び心、良く計算されている。


 庭園を堪能し、裏庭も観賞し、御朱印をいただいたら次は仁和寺を目指す。


 建物から外に出たら、きぬかけの路を歩いていた外国人の青年が前を歩いており、龍安寺内にある湯豆腐屋さんに吸い込まれていった。ひとりで湯豆腐に突撃するとかすごいな。

 

 龍安寺は緑が多くて、日陰に入るととても涼しい。


 枯山水の庭だけでなく、苔むした裏庭もまたのんびり眺めるには最高だ。派手さなどいらない。控えめでこそ際立つものが日本にはとても良く似合う。


 そう思わずにはいられない。

 

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