第11話 京都全力ひとり旅2日目―二尊院


 バスが来る。結構混雑しており、道路も混雑する時間帯なのかなかなか進まない。30分ほどバスに乗って嵐山を通り抜け、嵯峨小学校の前で降りる。


 バスにして正解だった。嵐山のメインストリート、めちゃくちゃ混雑。ここ原宿か、とツッこみたくなる。比較的有名どころ以外は空いてる印象だったが、なるほど、みんな同じようなところにしか集まらないのか。外国人がとにかく多かったが、日本人も同じのようだ。


 嵐電に乗ってたら、この人混みを掻き分けて行かねばならなかったのだから、ほんとバス様々である。


 さて嵯峨小学校前で降りた私はとりあえず持参した地図と、Googleマップを頼りに二尊院を目指して歩き出した。だいたい徒歩10~15分ほどと表示されているが、住宅街に入ると分かれ道が多い。きちんと標識が整備されているが、本当に合ってるのか不安になってくる。こういう時、誰かいると良いんだけどなぁ……。


 きょどきょどしながら早歩きで進むと、次第に外国人観光客とすれ違うようになった。外国人ばっかり。ここに来るなんて渋いな。


 13時を回っているのでとにかく必死で歩いた。14時に清涼寺に着かねばならないのである。もう近くまで来ているのだが、二尊院で御朱印帳を買ってこいと頼まれていたのでスルーできない。


 さてここで困った。標識とGoogleが別の方向を示している。どうしよう……。


 少し悩んで、Googleの示してる方から人がたくさん降りてくるので行ってみる。……常寂光寺じょうじゃっこうじに着いた。……いやここじゃない。ここも観たいけど、今日はここじゃない。


 しかしGoogleは常寂光寺山門の右側を示している。ふと見ると、看板が立っている。


「私有地につき通り抜け禁止」


 騙されたぁ!  Googleにだまされたぁ!


 慌てて標識のところまで引き返し、標識に沿って早歩きで進むとやがて二尊院にたどり着いた。やっぱり地元の標識が確実だよ。Googleはあてにならん(逆ギレ)。


 入り口で拝観料を支払い中に入る。ここは広くてなだらかな石階段と、その両側にしだれる紅葉がとても見事で、秋は大変混雑する。青紅葉もとても見事でさぞかし観光客が……いない。


 え、貸し切りじゃん……。この景色貸し切りじゃん……。


 誰もいないと逆に不安になるのだが、せっかくなのでカメラでバシャバシャ撮影するも、誰も来ない……。なんで?


 とにもかくにも急がねばならない。こんなゆったりした場所でひとりせかせかしながら階段を上る。もうちょい先まで行けば勅使門だったのに、また手前の通用門から入っちゃった。


 広々とした前庭をくるりと一周してから本堂へ。ここまで来るとさすがに数組の観光客がいたものの、こんなに空いてるものなのか。静かで良いけど。


 靴を脱いで本堂に上がるとすぐに御朱印所があったので、頼まれた御朱印帳と、自分用の御朱印をもらおうと御朱印帳を取り出したら、季節限定の御朱印が目に入った。ピンクの台紙に桜柄の見開き2枚分の限定御朱印。書き置き型にはなるけれど、せっかくなので自分用のも限定御朱印にした。御朱印帳には挟めないが、北野天満宮でもらった刀剣御朱印のクリアファイルがあるので折らずに持って帰れる! ラッキー!


 二尊院の御本尊は釈迦如来と阿弥陀如来の2つ。2体の御本尊が並び立っているので二尊院と言う。派手さはないけれど、観ているだけでほっとするような仏様だ。


 こちらに来たのは2回目かな? 御本尊の前でしばしお参りをして、そのまま裏庭を観賞する。かわいいお地蔵さんが置いてあった。


 だが時刻13時40分ほど。


 ここから清涼寺までは歩いて約15分となっている。急がねばならない。本当はもう少し見所もあるのだが、また次回のお楽しみにする。有名人のお墓とかあるんだよね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る