第3話 京都全力ひとり旅―三十三間堂


 14時20分。出町柳駅に到着。


 ここから京阪電車に乗り換えて、七条の駅に行くわけだが、外に出たら鴨川の河合橋のたもとに出たので少し見物。


 ここは初めて来たけれど、鴨川の橋の辺りはどこも風情があって良い。風も気持ちいいし、時間があったら河原に降りてみたかったけど、神社仏閣はどこも16時~17時には閉門してしまう。先を急がねば。今日は三十三間堂の後、なんとか東寺まで行きたいのだ。


 久しぶりに京都に来たのだから、大好きな場所の仏像を見たい! それには三十三間堂と東寺は外せないのである。しかし明日だとどうしてもこの二つは回れない。今日しかないのだ。


 そこからすぐに京阪の地下ホームに降り改札へ入ると、すでに出発間近の電車が待機していた。行き先を見て、事前に調べていた時刻表とも合致しているから普通なら躊躇いもなく乗っていたはずなのに、ここでちょっと勘が狂った。


 なぜならそれは、車両がとっても素敵だったから! 車両がおしゃれすぎて、特別な観光列車かと勘違いしてしまったのだ! しかも乗ろうとした車両の隣がよりにもよってプレミアムカー(JRだと在来線のグリーン車にあたる)だったから余計に惑わされた。


 これ違うかも?  と思って慌てて降りたら……普通にフリーパスでも乗れる電車だった。なんだよー、すぐ次の電車来るけどなんか損したよぉ。


 次の電車に揺られ七条の駅に降り立つ。地上に上がると驚いた。ここはこれまでの場所とは違って人がいっぱいいる! 特に若い世代がうじゃうじゃいるではないか。街中の人気観光地だとこんなに人がいるのか……。まあ確かに貴船神社方面は往復に時間が掛かるからなぁ……。なんて考えながら三十三間堂へ。


 ここはね、大好きなところなんです。まず蓮華王院ていう名前がカッコいいよねぇ。観音様が、横幅118メートルもある建物の中にこれでもかってくらい並べられてるのも仏像好きにはたまらない! いっぱい居すぎてもはや奥の方の観音様は微塵も見えない! でもそれも良い! ロマンがある!


 その数、圧巻の1001体。だけじゃない! 雛壇に並べられている観音様の前には風神雷神、帝釈天、阿修羅、鬼子母神(二十八部衆像というらしい)などの像まで並べられているのだから、もう、これは大変なことなのです! 要するにずっと見てられる。私大変!


 顔も一体一体違うし、着ている衣装も違うし、お名前だって一体一体きちんと付いている。作った仏師も違う。一体どれだけの期間を掛けて、何人の仏師によって製作されたのだろう。


 二十八部衆像は退色が進んでおり木目の露出した像に見えるかもしれないけれど、うっすら当時の模様が足とか袖の裏とかに残っていたりする。空いていると最前列でじっくり見られるから、前回見た時とは違う新しい発見があったりするのだ。ご本尊の千手観音様も巨大でお顔も優しい。なんだか涙が出てきてしまった。京都に来る度に観ているはずなのにね。


 あまりにも熱中しすぎて御朱印もらうの忘れたことに気付くのは、さらに後の事なのであるが……。千手観音様のところに御朱印所あるのに気付かずスルーしてたよ。前もここでもらったはずなのに、記憶はやっぱり薄れていく物なのだ。切ない。


 一通り観音様をみた後は、堂の裏側に回り、今度は弓に関する資料を見ていく。


 ここ三十三間堂は通し矢という弓の行事があり、堂と同じ距離に置かれた的を狙って射るのだそう。新成人で弓道の有資格者だと誰でも参加できるようだが、残念ながら私はもう年齢でダメだ。けれどこれから成人する方で、弓道やってるのならば是非参加してみては? 絶対良い思い出になる。


 裏側の展示物を流し見(すみません)して、次は東寺へ向かうことに。


 三十三間堂の前からバスに乗るのだが、バスがちょっと分からずマゴマゴしていたら、多分東寺の方に行くんだろうなーと思ったバスが来るも満員。しかも確信を持てないので見逃したらすぐに京都駅行きのバスが来たのでとりあえず乗車。京都駅ですぐに乗り継ぎ出来た。


 けれど……。

 

 やはり見逃したバスの方が正解だった模様。降ろされた東寺道のバス停は東寺からえらい遠く……。


 時刻は15時半を回り、もうすぐ16時。

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