高校時代は楽しかったな 弓道部(蛇足)
これは蛇足です。
本編の 弓道部⑦ で、二年生の秋に弓道部を退部した理由がはっきり思い出せないと書きました。書いたときは若さゆえの勢いだったと思ったんですが、本気でなんで辞めたのか真剣に考えていたところ、少し前に唐突に思い出したことがありました。
それは中学生の思い出。
中学ではバスケット部に入ったんですけど、なかなか面白くて結構真面目に練習してました。
このときからひょろひょろ体形で体力皆無でした。
でも、走り込みとか長距離走の練習とかがなんだか性に合ってたみたいで、楽しんで走ってたら持久力がついてきて、休みの日に近くの団地内の公園にあったバスケットゴールでシュート練習とかしてたら自分でもわかるくらい技術も上達したんですね。
筋力をあまり使わないロングシュートとドルブルワークが得意でした。
ただ、中学一年生の最初の対外試合でレギュラーメンバーになれませんでした。
ちょっと悔しかったけど、部活以外での練習はそれからも続けてればそのうち試合に出れると思ってましたから頑張れました。
ある公式戦の際、自分と同じポジションでレギュラーメンバーだった同級生がひどく不調で、シュートも入らずパスもカットされまくってました。体調が悪いように見えてたので、こりゃあ交代することになるなあと思ってアップを始めたんです。
が、顧問の教師が一向に動こうとしない。
攻撃の起点となるポジションがミスを連発してるのに放置してるんですね。タイムをとることもしない。
先生と目が合ったので
「先生」
とさすがに見兼ねて声かけたんです。だってコートを走る姿が弱弱しくて、もう限界にしか見えないのですから。
そしたらこう言いました。
「やっぱり試合経験のあるメンバーでないと任せられないな」
(え?)
つまり「お前を出す気はない」、なぜなら「試合に出たことがないから」と申されたわけです。
これには耳を疑いました。
この先生は勝つ気がないってこと? とか、一人が不調でチームがガタガタになってるを分かってないってこと? とかいろいろなことが頭を過りました。
しかし監督はこの顧問教師。選手が何か言えるわけじゃないですか。
そして試合はダブルスコアで敗退。
その後も、あの言葉の意味を正確に理解しようと何度も考えた結果、自分の中からやる気が失せました。
最初にレギュラーに選ばれなかった者を、今後試合に出すつもりはない、と宣言されたわけですから。
で。
後の中学生活で部活はどうでもいいものに成り下がりました。
そして。
高校で弓道部に入ったとき、無意識のうちに「ぜったいレギュラーメンバーになって試合に出てやる」と思っていたんでしょうね。その自覚はなかったんですけど、あの中学の教師の一言が忘れられなくてどうにか乗り越えたかったんでしょうか。
そして本編に書いた通り、弓道部ではレギュラーに選ばれて公式戦に出られました。その他の目標だった「公式戦での皆中」や「何かの大会で社会人に交じって入賞」とかも一気に高校二年生のときに達成できました。
そしてある日、ふと目標がなくなったことに気が付いて熱が冷めてしまった。
「弓道への熱」ではなくて、「目標達成への熱」が冷めていた。
早い話、燃え尽きたんです。たぶん、きっと。
歳をとってから気が付く、若いころの心境の移り変わりというのはもどかしいなと感じました。
中学のあの教師の一言がなければ、もしかしたら弓道部のレギュラーになれなかったかもしれないけど、三年間弓道部に在籍した別の高校生活があったかもしれない。
そんな「もしも」も含めた補足になれなかった蛇足でした。
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