無能力者の理不尽
km黒
第1話
痛い…熱い…
鉛を付けられたように動かない左足を引きずりながら、体育館への廊下を走っている。
僕の頭の中には疑問符がいくつも浮かび上がり、どこからこの悪夢が始まっていたのか考えるが、一向に原因はわからない…。
学校に武装した人達と、ムカデのような機械の怪物、それらは僕らのクラスメイトをまるで虫のごとく殺していった…それだけじゃない、何人かのクラスメイト達は不可思議な力を使い、機械の怪物と武装集団を撃退していった…
夢だ、これは夢に違いない。
僕は一部のクラスメイトが殺されず、連れていかれるのを見た…
廊下から全力疾走で窓から飛び降り、連れ去られたクラスメイトの後を追いかけた。
三階から飛び降りたからか、左足を引きずるはめになっている。
体育館は別棟であるため距離は少しあったけれどようやくクラスメイトが連れ去られ入れられた体育館の扉前までたどり着いた。
無鉄砲に飛び込んで、殺されてもたまらない。確か足元に窓があった。
動かない足を引きずりながら腰を屈め、頭を覗かせる……え?
学校の制服を着ている人たちは皆、床に倒れていて、何か白くて薄いVRゴーグルを付けられている。
死んではいなそうだけど、全然大丈夫そうには見えなかった。
ここも離れないと……そう直感し、すぐに体を校門へと向けた先に人が立っていた。
こんな状況で立ち止まって僕を見ていることなんて普通ありえるのか?
そんなことが頭に浮かんだが、とりあえず彼の前を通らないことには学校を脱出できない。
前を通り過ぎようと足を早めた時、カチャという音と共に僕には銃口が向けられ、彼の光の無い瞳は、僕を見ていた。
終わった。体中がこの死から回避することを諦めたのか全身が軽くなったと同時に意識はここで途切れた。
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