第35話 異世界に来たと思ったらすぐ読め
馬車が止まった。布をはがされた。周囲が薄暗い?ああ、森の中か。
「降りろ」
そう言われて、馬車を自力で降りた。幌の付いた荷馬車みたいな感じの馬車だ。
ステップが有るが凄く高い位置だ。手を伸ばして藍ちゃんが降りるのを手伝う。
藍ちゃんは肩に圭から受け取ったトートバックを下げたままだった。自分のデイバッグは背中に背負っている。
俺も持ち物を確認した。圭から受け取ったデイバッグは右肩にかけてる。あれ?軽い?中身どこいった?
デイバッグに手を触れたらポロンと何かが飛び出してぶらぶらとぶら下がった。
デイバッグのポケットに入っていた手帳がこぼれ落ちたらしい。リールが付いていてぶらぶらしている。
ポケットに戻そうとして手帳を手にして、そこに書かれた文字に思わず動きを止めた。
ーーー異世界に来たと思ったらすぐ読め!何より先に読め!
圭‥‥。少し嬉しい気持ちと切ない気持ちと若干の残念さを感じる。
ライアンさんと兵士達は担架を既に地面に下ろして、木の板のようなもので穴を掘り始めていた。
圭を埋葬するなら俺も手伝わないと。
だけど、手帳の内容が気になる。
何より先に読めというんだ。急いで目を走らせた。
①突然、偉そうな人が立っていて兵士みたいな人達に囲まれた状態の場所にいたら
それは勇者召還や聖女召還だ。
可能であれば逃げろ。
でも暴れたりして敵対したり追跡されたりしないように。可能な限り目立たないようにしろ。
②勇者召還らしき場所ですぐ逃げられないとき
能力をアップするためだとか、点呼をとるためだとか、腕輪とか何かを身につけるように言われたら
絶対つけるな。それは隷属の道具の可能性が高い。首輪等の場合もある。
しかし、強制されて拒むのは難しいかもしれない。だから可能な限り早く逃げる事を勧める。
③能力について
異世界に連れてこられると、何らかのスキルが増えていたりする。
能力を鑑定されたりするが、可能であれば見せる能力は抑えろ。隠蔽のスキルが有れば有効活用しろ。
有能だと思われると、逃がしてもらえないぞ。
こっそり「ステータス」って言ってみて。
④逃げたした後
大抵は黒髪は目立つ事が多い。フード付きの服やスカーフなどで頭を隠せ。
⑤親切な人に会ったら
硬貨の種類や宿屋の相場なんかを聞けたらきいておけ
生足を出したらダメとか、しては行けない事を聞いておくのもよい。
⑥当面の資金の稼ぎ方
その世界に存在しないような物を売るときは、よく考えてから売れ。
貴族等に目をつけられる場合があるぞ。
ファスナー付きフードバッグの中の紙袋には黒い岩塩が少しずつ入っている。
少量ずつ売って様子をみてみるといいかも。でも紙袋で売るように。
でも全部は売らないで。自分たちの食事用も残してね。
胡椒も資金調達に売ってもいいけど、場所によっては目立つかもよ。
それと石鹸とミニ手鏡も用意してある。これも売れたら結構な値段になると思う。でも珍しすぎると目を付けられるから売るとしても
その世界の相場を確認してからが良い。
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