四季折々
生永祥
四季折々
制服の染みを数える卒業や
春の炉に母が火を点け煮たカレー
菜の花を抱え河原を駆ける稚児
祖父偲び頬に浴びるは
夏風を裂き空を舞う通知表
細腕の祖母が断ち切る冷やし瓜
齧り付くトマトに映る八重歯かな
鳩よ飛べ原爆落ちぬ空目掛け
死を悼む
ゆびきりのポーズの指に赤蜻蛉
三日月に似た痕刻む彼の
車窓から紅葉かつ散る一人旅
縁側の律の調べに夢心地
子が母の長い初髪結えず泣く
木枯らしが仲を裂けない人魚像
ブロックの塀にポツンと都鳥
子供らが
四季折々 生永祥 @4696540
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