新天地
長船 改
プロローグ
地球が滅亡してもうどれぐらいの歳月が流れたのだろうか。
俺はこの船で新天地を求めて宇宙を彷徨っている。何十年もずっと。先祖の代も含めればそれこそ何百年も前からずっとだ。
ノアの箱舟――。聖書にならって、この船はそう名付けられたらしい。
乗っているのは俺ひとりだけだ。あとは、地球上に存在した様々な生物のDNAサンプルと、俺の面倒を見てくれるマザーコンピューターくらいしかない。
地球人の生き残りは俺のオリジナルの他にもいるらしい。彼らもまた別のノアの箱舟に乗って地球を脱出したらしいが、今どの辺りにいるのか、そもそも生きているのかどうか、俺には知る由もない。それにそもそもそんな事に興味もなかった。俺はクローンで、生まれてからずっとひとりで、これからもずっとひとりだからだ。
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