2-2
練習試合 対乃小沢高校戦オーダー
鷲川(PR 3)
古龍(HO 3)
江里口(PR 1)
今岡(LO 1)
小川(LO 3)
松上(FL 3)
西木(FL 2)
児玉(NO8 3)
星野(SH 3)
二宮(SO 3)
原院(WTB 3)
瀬上(CTB 3)
安生(CTB 1)
金田(WTB 2)
能代(FB 3)
ボールを受け取った安生が、あっという間に相手の守備陣を置き去りにする。そのまま、ゴールラインを駆け抜けた。
「すげえなあ」
テイラーがつぶやいた。ベンチから安生のプレーを見るのは初めてだったのである。
「何か……」
あたりをきょろきょろ見回していたのは佐藤である。
「どうした、佐藤」
「静かだなって。西木君がいないからか」
二人は、グラウンド上で声を上げる同級生へと視線を移した。西木哲弥、フランカー。成山中というところで活躍していたが、県外であるためその時代のプレーを見たことのある者は少ない。昨年は先輩たちの壁が厚く、レギュラーを取るには至らなかった。
ただ、とにかく目立つ。喋りまくるのである。
「ああいう一年生は今年は……あっちにいるな」
テイラーはさらに視線を移す。
「おらぁ! 次は俺だ。パス出せ」
今岡廉次、ロック。彼の予想通り、須野田はベンチスタートとなった。名門桐屋スクール出身だけあって、随所に上手いプレーもある。
「でも、声が大きいだけだよね」
「佐藤、辛辣」
テイラーは、試合を見ながらスクラムハーフとしての考えも抱いていた。新戦力のうち、安生と江里口は文句をつけようがない。このままレギュラーとして、試合の中で役割を果たすだろう。先日の歓迎試合を見る限り、此村も面白い存在だ。前線の誰かがケガをするなどの時には、出番が回ってくるだろう。里に関しては、ポジションが被るだけに譲る気は全くない。ただ、試合を作れるだけの力はあると思っていた。監督も、どこかで試すつもりではないかと思っている。
新人のラグビー経験者五人のうち、四人はすでにテイラーの分析が済んでいるのである。ただ今岡だけは、いまだに謎が多かった。ワンマンプレーに走ることもあれば、時にテクニカルな動きを見せる。自分が目立つためならば献身的になるというような、先の読めないタイプなのだ。
どう、使えばいいか。試合を想定した時に、一番使い方に悩む選手なのだ。
星野はどうするか。テイラーは最終的に、ライバルを注視することにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます