第28話 一角獣
ダンジョン10階層
ダンジョンには10、20、30などの10の位の階層にボスと呼ばれる非常に強力な力を持ったモンスターが出現する。
出現場所は決まっていて11階層へと進む為の通路の前。11階層に行く為にはこのモンスターを倒す必要がある。
過去にこのボスを無視して11階層へ行こうと心掛けた冒険者がいたが、ボスは先へ進もうとする者を優先的に狙うようで集中して狙われた結果死亡してしまったらしい。
この事から冒険者の間ではボスは確実に倒してから11階層へ進むようにと伝えられている。
そして今、俺と晴太はそのボスが出現する場所の手前まで来ていた。
「おい、まさかお前…ボスに挑む気じゃないよな。」
晴太は確かに強い。
だけどボスとは本来、最低でも4人以上のパーティを組んで討伐するものだ。
噂ではギルドメンバー総出で挑んだが全滅したなんて話も聞くくらいだ。
1人で挑んでいい相手じゃない。
晴太は俺の問いかけに満面の笑みで答えた。
「勿論そのつもり。その辺の雑魚じゃつまんないし。大丈夫だって、おっちゃんはただ見ててくれればいいからさ。」
そういうと晴太はボス部屋に向かって駆け出した。
「おい!ちょっと待て!」
静止の声は聞こえていないのか、晴太の足が止まる事はない。
俺は仕方なく晴太の後を追ってボス部屋へと入って行った。
戦闘音が聞こえる。
既に晴太とボスは戦っているのか……
部屋の中で待っていたのは額に生えた角が特徴的な巨大な一角獣、ユニコーンだった。
一角獣が光出したと思った次の瞬間、電撃が晴太めがけて放たれる。
「お、電撃だ。でも…そんなの効かないよ〜っと!」
両手に構えた短剣で最も容易く電撃を斬り裂く。
そんな2人の戦いの様子を俺は部屋の隅から見ていた。
凄いな。
俺なんかとはまるでレベルが違う。
多少は強くなれたと思ってたけど、晴太の戦いを見てはっきりわかった。
俺はまだスタートラインに立っただけに過ぎない。
低ランクモンスターしか相手に出来なかったせいで同期の奴らとは大きな差が出来た。
同期で冒険者を続けている奴らは既に60レベルを超えた一級冒険者ばかり。
交流こそないが、彼らの活躍は新聞なんかで追っていた。
漸く追いつけると思ったが道のりはまだまだ遠そうだ。
ユニコーンが強いといっても晴太には敵わない。少なくとも、俺の目からは終始晴太が押している様に見えていた。
しかし、その時は突然訪れた。
上空から放たれるユニコーンの雷撃を捌き、少しずつ近づいていた晴太が遂に自身の間合いまで到達した。
「行っくぜえ!奥義、
晴太を中心に炎の竜巻が現れた…次の瞬間、竜巻は元々そこに無かったかの様に消失してしまった。
「あ…やべっ、魔力切れた。」
ユニコーンの雷撃が晴太を襲う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます