その4 ズィアーク

 拠点へ襲撃を受けてしまい、

黒いローブの集団に攫われてしまったマイナと三姉妹たち。


 縛られた状態のまま、荷車のようなもので運ばれ

謎の集団の本拠地へと到着していた。



「よし、見えて来たぞ。 あそこが入口だ。」


「あれが目的地なの? あんな洞窟に入ってどうする気?」


「ただの洞窟ではない。

お前たちはダンジョンというものを知ってるか? あれがそうだ。」


「ダンジョン・・・、ってモンスターの巣窟でしょう?

そんなところ入るなんてますます訳が分からないわ。」


「心配はいらん。 われらと一緒ならば

中のモンスターは近寄ってこない。

さあ着いたぞ。 ここからは歩いてもらおう。」



 入口の前まで来たところで

荷車から降りるように言われるマイナたち。


 マイナは未だに気を強く持っていたが、

三姉妹のうちミカとチカはかなり参っていた。



「私たち・・・、どうなっちゃうの~・・・?

お姉ちゃん、怖いよ・・・。」


「生贄だとしたら、私たち、きっと・・・。」


「し、心配しなくていいわ。

きっと姉さんたちが助けに来てくれるもの・・・。」


「そうよ、三人ともしっかりして。

今は大人しくしておいた方がいいわ。」



 不安そうにする三人を、マイナが小声で励まし続ける。


 決して抵抗することはなく、言われるままに洞窟へ入っていった。


 最初は岩の壁や土の床が続いていたが、

少し歩くうちに段々と整備された空間が現れる。


 四人と黒いローブの集団は、松明に照らされた道を歩き、階段を降り、

そして開けた場所へとたどり着いた。


 暗がりで見えづらいが、地下とは思えないほど広く

そして怪しさに満ち溢れている。


 マイナたちは奥まで歩かされると、

髑髏のついた玉座のようなものに座った

一人の人間と対面させられた。



「ズィアーク様、例の赤い髪の巨乳です。

三人とも捕まえることができました。」


「おお・・・、おお・・・!

同志たちよ、よくやった・・・!」



 ズィアークと呼ばれた黒いローブの人間は、

フードを捲り上げながら立ち上がる。


 その正体は、優しそうな老人とも言うべき人間だった。

髪は全て白髪になっており、顔は皴だらけではあるものの、

極めて温和な表情を浮かべている。


 この集団の中では最も偉いのか

男の隣に二人ほどいた黒いローブの人間が頭を下げ、

マイナたちを連れてきた人間たちはみな揃ってひざまずく。


 老人はそのまま嬉しさを露わにしながら

誘拐犯たち、そして三姉妹の元へ駆け寄る。



「うむ・・・、間違いない・・・!

火の女どもじゃ・・・! きちんと三つ揃っておる・・・!

ああ良かった・・・! これで儀式に間に合うぞ・・・!」


「あと4日で魔王様が世界に三つの火を巡らせたその日でしたね、

その日に火の女を三人生贄に捧げれば。」


「魔王様は間違いなく復活なされる・・・!

ああ、ようやく我らの悲願が達成されるぞ・・・!」



 ズィアークは再び小さな歩幅で走り出すと

暗闇の中へ入っていく。


 そして何やら明かりが灯ったかと思うと、

あちこちひび割れている巨大な女性の石像が、

とても大きなおっぱいの石像が現れた。

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