第44話 2つの同盟の駆け引き(10)

ーーグレイング・オブ・ロアー王国とゴンディー・オブ・パリサ帝国、

  オウニラ王国の軍(現在、王たち一行を追跡中)


「我々はオウニラ革命軍という名前にしようと思う。」


「それが良いと思う。区別も出来るしな。」


「ああ。」


男爵とゴンディー・オブ・パリサ帝国の第3重騎兵隊の隊長は

かなり親しくなっていた。


「いつになったら追いつくのか・・・」


「恐らく、王都まで追うことになるだろうな。」


「くそっ。自分の保身だけは上手いな・・・」



ーーその頃


「はあ、はあ・・・ 王都はまだ見えないのか?」


「あそこだ!もう少しで城壁の中に入れるぞ!!」


「どうだ。王都までどれくらいだ?」


「もうすぐです。」


「そうか。どうにか体勢を整えて迎撃だ。」


「はっ」


彼らは男爵が裏切った事など知らずに王都へ向かっていた。



ーー30分後


「陛下が帰ってこられたぞ!」


「おお!無事だったんだ!!」


「良かったな。って、え?」


「どうした?」


「お供の方が少ししかいない・・・」


「そういえば確かに・・・」


「最初は兵士達を引き連れていたのに・・・」


周囲の民衆が騒ぎ始めた。


「静粛に!今回はエルドー男爵家の当主であるピラ・エルドー男爵が

 同家の本家筋のリヴィア・エルドー準男爵に殺された。

 陛下はそれを黙認したが、その直後に敵の奇襲にあったため

 リヴィア・エルドーには男爵位を与え、エルドー男爵家を

 継ぐことを許可し、その代わりに彼らに殿を担当させて

 陛下は戻ってきたのだ。男爵らも直に王都に戻るだろう。」



「良かった・・・」


「な。無事だといいな。」


「ああ。」



「陛下。これでよろしいのですね?」


「ああ。問題ない。」



ーー1時間後、グレイング・オブ・ロアー王国と

ゴンディー・オブ・パリサ帝国、オウニラ革命軍は


「まもなく王都です!」


「では、先陣ですがオウニラ革命軍の方々にお願いしたいです。」


「何故だ。」


「奴らはまだ貴方達を敵として認識していない。つまり、味方に見せかけて

 交渉に持ち込むという手段もあります。我々は王都を包囲し、

 貴方達は王城に行き、交渉に持ち込みます。もしも、交渉するより先に

 抵抗されたら王都を制圧して再度交渉に持ち込みます。

 それでも交渉が決裂した場合は、王城に攻め込んで

 占領してしまいましょう。」


「確かに一理あるな。よし、その作戦でいこう。」


「では、我々は包囲を開始しますので。」


「了解。ご武運を。」



ーー20分後


「男爵らが戻ってきただと!」


「はい。男爵殿が報告に来ております。」


「すぐに通せ!」


「はっ」



ーー5分後


「殿、ご苦労であった。」


「は」


「望みを申せ。褒美をやろう。」


「褒美は要りません。代わりに、この書類にご署名を。」


「ふむ。何の書類だろうか・・・

 って、何だこれは!!」


「見ての通りです。」


「こんな物に誰がサインするか!」


「では、陛下には死んでいただきます。」


「は?この状況でどうやって討ち取るのだ?」


「今、王都をグレイング・オブ・ロアー王国とゴンディー・オブ・パリサ帝国の

 連合軍が包囲していますがそれでも受け入れませんか。」


「待ってくれ。撤回する。許してくれ!」


「無理です。確か、男に二言は無いということわざがありましたねぇ。」


「ひぃっ!! 誰か、助けてくれ!」


しかし、近くにいた護衛の兵は皆 外方を向いていた。


「さて、これまでの罪を償ってもらいますぞ。」


「嫌だ!嫌だ!!」


王は泣き叫びながら引き摺られっていった。

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