蜂谷彩矢はニホンミツバチを絶賛する~春・夏編~
ツーチ
春の養蜂場
第1話 養蜂場のお姉さん
ここはとある地方都市から車で1時間ほどの距離の山の中
//SE ニホンミツバチの羽音
//SE 殺虫スプレーを吹きかける音
「こらぁ!! 何やってんだぁ、お前ぇ!!」
//SE 駆け寄って来る足音
//SE 背中を叩く音
「はぁ……はぁ。あたしの大事なニホンミツバチさんをいじめるなぁ!!」
//SE 3回背中を叩く音
「何するんですかって……それはこっちの台詞だよ。あたしの大事なニホンミツバチさんに何してくれてんの!?」
「……え? 何もしてないって? 嘘をつくな嘘を!! じゃあその右手に持ってる缶は何なの!! こ、この~~、蜂殺し~~~~!!!」
//SE 5回背中を叩く音
「ちょっとこっちに来い!! ちょ、ちょっと……もうっ、暴れるな」
♦ ♦ ♦
//SE 引き戸式の玄関を開ける音
//SE 引き戸式の玄関を閉める音
「なるほどねぇ、新入社員の配属でここに来て今日は休みで山に散策に来てたわけね……」
「ふふっ、最初の配属がこんな田舎なんて……さては左遷されたな? かわいそうになぁ」
「ふふっ、冗談冗談!! ここは田舎だけど結構いい場所だよ。それにそのおかげでこんな美人にも会えたじゃあないかぁ。良かったな!!」
「おいぃっ!! 目の前にいるだろ!? このぉ」
//SE 両肩を持って揺さぶる音
「ん? あたし? あたしは
「うん。そうそう。さっき君を襲ってたのはあたしのところのニホンミツバチさんだよ」
「危ないって……それはこっちの台詞だよ!! そんな黒い服でこんな山の中に入ってきて。黒い服は蜂を刺激するんだぞ?」
「あたしのニホンミツバチさんはおとなしいけど、山には他にもっと狂暴な蜂がいるんだからね? ほらっ、これに着替えて」
「何って……着替え。あたしの服だけどまぁ、白シャツだから大丈夫っしょ!! ユニセックスデザインってやつだな」
「いいから着ろっ!! そんな黒い服でいられたらあたしが困んの!! それに他の蜂にも刺されるよ。ほらっ!! 早くこの白いシャツに着替えて」
//SE 服を着替える音
「まったく、そんなんじゃこの土地でやってけないよ? キミ、都会っ子でしょ?」
「かぁ~~……そんな場所から来たの!? これだから都会っ子は。お姉さんそんな都会っ子のキミがこの土地で立派に生きて行けるか心配だよ。こんな黒い服着て山に入って来ちゃうしさぁ……」
「え? じゃあ色々と教えてくれって?」
「う~~ん……養蜂場で食っていきたいんならセイヨウミツバチの方がいいぞ」
「え? 蜂のことじゃなくてあたしのことを教えてくれって? ……何言ってるのかよく分かんないけど、蜂のことならあたしが教えてあげよう」
「うん。良し良し!! じゃあ早速あたしの養蜂場を案内してやろう」
//SE 引き戸式の玄関を開ける音
//SE 草を踏み歩く音
「じゃ~~ん!! ここがあたしの養蜂場だよ」
「ここは隣の家までの距離が離れてるから養蜂の場所には最適なんだ」
「ん? この花は何かって? それは販売用の花。あたしは普段は街の方で花屋をやっているから花もここで育ててるんだ。花があればニホンミツバチさんも近場で花の蜜がとれるしね」
「ん? 何? 養蜂場の仕事だけじゃなくて何で花屋をやってるのかって? ……まぁ、養蜂場の仕事ってなかなか大変でね……特にあたしが育ててるニホンミツバチさんは普通の養蜂場で飼育してるセイヨウミツバチよりも作ってくれる蜂蜜が少なくてね……」
「まぁ、あたしは半分趣味でやっているから平日は花屋で6時間働いて山に戻ってきてニホンミツバチさんのお世話をちょこっとして休日は山で花とニホンミツバチさんのお世話をしてるって感じ」
「お? 羨ましいって? おいおい、まだ4月だぞ? そんなんじゃあこの先の出世レースや社内の醜い争い事に耐えられないぞ?」
「え? 耐えられなくていい? そんなに出世もしたくないって? ……もう~~、まぁ気持ちは分かるよ。あたしも昔は……って、ちょっと待って!!」
//SE 大量のニホンミツバチの羽音(小さめ)
「あっ、もしかして
//SE 大量のニホンミツバチの羽音(大きな音)
「やっぱ
「……そうそう、あれ。あの木箱のふたを開けてきてくれる?」
「あっこら!! ニホンミツバチさんを手で振り払おうとするな! 暴れないで!! 大丈夫、何もしなければ刺されないから……多分」
「と、とにかくあの木箱の蓋を開けてくれるだけでいいから。あとはあたしがやるから蓋を開けたら遠くへ逃げててっ」
//SE 大量のニホンミツバチの羽音(小さめ)
//SE 草を踏み歩く音
「……良し。ふぅ~~、やった……これで3回目の
//SE 草を踏み歩く音
「えへへっ、ごめんね。いきなりあんなにたくさんニホンミツバチさんがいたからびっくりしたっしょ!!」
「え? なんであんなに大量に集まってたのかって? ふふっ、あれはねぇ
//SE 大量のニホンミツバチの羽音(小さめ)
「……ここだと君も話に集中できないだろうから家の中で話そうか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます