異世界に来たら魔導書になってました。
@twweqte2
第1話魔導書になりました
なんか身体が、動かない。
いや、身体を動かせないってより、自分の身体そのものに違和感を感じる。
手足の感覚そのものがない感じ。
周りは、真っ暗で何も見えない。
何か明かりがないかと周りを見てみるが、明かりのようなものはなく、目を凝らして見てみると周りは、壁で囲まれていた。
床は、木のような感触がする。
その壁は、四方しっかりと囲んでおり、暗い箱の中に閉じ込められているようだった。まるで、棺桶のような息が詰まりそうな空間。
壁の向こうからは、ガサガサと何かを動かしている音が聞こえる。
大きなものを動かしているってよりは、小さなものを動かしているような音。
そのような音が、継続して何回も聞こえてくる。
天音 矢波(あまね やまね)は、そんな変な場所で目を覚ました。
えーっと。ここは、どこだ?
明らかに自分の部屋ではない。
夢を見ているのかと思ったが、それにしては、意識がはっきりしている。
これは、夢じゃないとすれば、ここは、一体どこなんだ?
目が覚めたって事は、さっきまで自分は、寝ていたって事だよな?
昨日の行動を考えてみれば、ここがどこか分かるだろうか。
いや、特に変わった事はなかった筈だ。普通に学校に行って、帰って来てスマホをいじりながら一日を終えた。
本当に怠惰な学生。
それが、天音の日常だった。
つまりいつも通りだったわけで、こんな場所に閉じこめられる事はしていない。
でも、誘拐とかされて、監禁されているのが今の状況なんだろうか。
こんな一般的な高校生を攫ってどうするつもりなんだろうか。
暗い所に閉じ込められているからか、どんどんと思考がマイナスの方向に動く。
聴覚や触覚など感覚はあるから、なんとなく自分のいる場所の把握は出来るけど、この箱のような空間から脱出するための身体を動かせないから、どうする事もできない。
時間だけが、過ぎていく。
はぁ〜。これからどうすればいいのか。
そんな事を想っているとさっきから聞こえてきた音が近づいてきた。
ガサガサとゆう音が、天音のすぐ上にまで、迫ってきていた。
「宝箱だ!! やった! やった!! 」
自分よりだいぶ幼そうな少女の声が、自分の真上から聞こえてきた。
その声から分かるようにとても喜んでおり、ガチャガチャと金属と金属がかち合う音。
そして、少女が先程言っていた宝箱とゆう言葉。
それから、イメージするのは、宝箱には、鍵が掛かっていてそれを必死に開けようとしといる図が浮かんだ。
「早く開いてよ! あーもう!! 早くしないとみんなが来ちゃうよ」
焦りが、声からも伝わってくる。
少女は、焦りからかさっきよりも作業が雑になっており、天音がいる箱が細かく揺らされる。
宝箱が揺れる事によって天音が、いる位置も変わっていく。
右にずれたり、左にずれたりなすがままだ。
どうやら、他の人が来てしまうのは、そうとうまずいらしい。
とゆうか、自分が入っている箱は、宝箱なんだろうか。
自分は、そんな変なものに詰められているのか?
そんな事を考えていると、ガチャリと音が宝箱の外側からした。
「開いた!!!」
さっきほども少女は、喜んだ声を出していたが、今の声は、さっきの倍くらい喜んでいる様子が伝わってきた。
ギギギィィと木が、軋む音を立てて宝箱を、開いていく。
さっきほどまで真っ暗だった場所に、光が差し込んできた。
明るくなった事で、気がついた事がある。
この箱は、自分が思っていたより随分小さいかった。
本一冊分くらいしかスペースがなくて、どうやってこんな箱に高校生を詰めていたのか不思議で仕方がない。
そんな事を考えていると、箱が全部開き、さっきから聞こえていた声の主が、上から天音を見ていた。
少女を見て最初に思ったことは、でっか!!
いや、声から勝手に自分より小さいと思っていたけど、全然自分より大きいわ。
軽く見積もっても天音の10倍の大きさがある。
デカ過ぎて箱から見える景色が、ほとんどこの少女の顔が占めている。
でも、デカいけどかなり顔は、幼かった。
中学生くらいじゃないだろうか。
青い目が天音を見ており、その目は獲物を見つけた獣ような鋭さがあった。
頭には、中々に古びた帽子を被っており、穴が開いて場所から金色の髪が見えていた。
金色の髪に青い目。
明らかに日本人ではない見た目をしているが、さっき話していた言葉は、天音が分かる言語だった。
明らかに人間ではないサイズをしている少女は、興奮した様子で口を開いた。
「魔導書魔導書魔導書だ!! ついについに見つけてやった! 私を馬鹿にしていた奴の悔しそうな顔が目に浮かぶ」
え?魔導書??
周りを見ても本なんて落ちてないぞ。
そもそも自分だけで、結構ギリギリなのに他に入るスペースとかないわ。
そんな事を考えていると、目の前がいきなり暗くなった。
なんだ?
疑問が解決されるより前に、壁のような手の平が、天音を箱から持ち上げた。
人を持ち上げるつかみ方ではなく、まるで物を持ち上げる雑なやり方。
そんな乱暴な持ち上げ方で、箱から取り出された。
箱から取り出され、闇が無くなった事で、ようやく自分の姿を確認できた。
「えー!? 何これ!?」
本になっていました。
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