街談巷說
カオ
第1話 , 飛行機と島田
<<鳥かごに錠をかける理由>>
--------------------------------------------------------
鳥は空を飛ぶ時にはじめて鳥だ。
島田君がいつも言っていた言葉だ。
鳥は鳥かごと似合わないとかなんというか。
ゴミ処分場に行ってネジや釘などを拾って飛行機模型を作って私に自慢する時は、
私はただ拍手を送るだけだった。 何も言えず、ただ拍手をしているだけだった。
ぱちぱちと軽い音がした。
今見ると、私がなぜそうしたのか分かる気がした。 ただ大人たちにばれたくなかったからだろう。
そりゃ、ここでの飛行機は戦争を意味するだけだったから。
島田はいつも模型飛行機を作って私に持ってきた。
ある日はジェット機だな、ある日は旅客機だな、ある日はヘリコプターだなと思いながらね。
彼の尖った髪は誇りと誇りを表しているようだった。
家に帰って髪を洗う時、こっそり島田のヘアスタイルを真似しようとしたから。
シャンプーがいっぱいついた髪を、どう触りながら立てても、島田を真似することはできなかった。 彼が触った彼の髪は素晴らしい塔だったに違いない。
島田と私がこの村の0区域に追い出されたのはおそらくこの頃だっただろう。
私は18歳、島田は19歳。
そのころの私はみんなをだましていた。
島田が生まれた年までの子供たちは生かしておいたが、
私が生まれた年の子供たちはみんな殺してしまったから。
だからといって、私が幽霊とかいう超自然的な生物ではない。
18歳の同年代に比べて背が高く、19歳の同年代に比べてやせた体格で、検事官をだましただけだから。
私は17歳の時に病死した洋一という名前の女の子を真似していた。
幸いなことに、文書操作は難しくなかった。 洋一の兵士は兵士ではなかったから。
0区域に追い出された2人の子供はおそらく1週間も経たないうちに死ぬだろうと大人たちはひそひそ話していた。 でもまあ、今まで堂々と生きているもんね。
たぶんそこに入ってから一週間くらい経ったのだろうか。 私が彼にこの場所で初めて質問をしたのを思い出した。
-島田。飛行機は悪いんじゃないの?
-ヨイチ、バカか? よく見て。
島田はそう言って、自分の模型旅客機のお腹部分を親指と人差し指でつかんで持ち上げた。 工事現場とゴミ捨て場から拾ってきた金属にしてはキラキラ光った。 一晩中の騒音が何なのか分かりそうだった。
-飛行機は戦争ではない。 戦争は銃がするんだよ。
-しかし、その銃は飛行機から出るじゃん。
-いや、銃はその飛行機に乗っている大人たちが撃つんだよ。
ああ、そうなんだ。 そのようにあっけなく答えた私が思い出した。 おそらくあそこの角に背中をもたげて、少しの温もりでも多く受けようという目的で、ずいぶん前にすでに電気が消えたストーブにぴったりくっついていたその姿が目に重なってきた。 ストーブの上に置いた島田がいつもはめていた茶色の手袋を一対手に取った。 厚くて滑らかな材質の革で製作されていた手袋が手に握られると、島田が組み立ててまた組み立てていた飛行機がちらっと浮かんだ。 油をたくさんかぶってもにっこり笑うことができた島田を思い出した。 それももう2年前だった。
新しく履いたブーツのソールがガタガタと音を立てた。 靴底からまるで水が流れるように、がたんと音を立てていた。
ウィンガーは「パリがここには君だけいない」と言った。
私は黒い手袋をはめた手で小部屋のドアを開けた。
広い窓と一階部分が消えた二段ベッドが見えた。
-…島田。
-何で。
二段ベッドの下側から、しょんぼりした島田の声が聞こえた夜だった。
彼は泣いたのかしら? 私はそう思わないけど··· その日枕が濡れていた。
ああ、よだれでも垂らしたんだろう。
多分…···
-島田くん。
-なんで。
-そんなにここが嫌なの?
-当然だよ。
島田の怒りのこもった答えを聞いた。 それで私は後の言葉を飲み込んだ。 私は島田と一緒にいられて幸せだというその後の言葉を切った。 島田を怒らせたくなかったからだ。 だからといって島田が幸せだったかはよく分からないけどね。
その時、私にできることがなかった。 その時も今も私にできることはない。
小部屋からまた出てきた。 じめじめした空気が鼻を刺した。 首にかかったゴーグルが日光を浴びて輝いていた。 少し力が抜けるような午後。
-…島田。
フラッシュバックではなかった。 ただ喉から自然にその言葉が出てきた。
彼のことが気になった。 そうやって口にしていた飛行機が、今完成したんだけど。
あんなに乗ってみたいと歌っていた飛行機が、今完成したんだけど。
あなたはそこで何をしているの、島田?
-ヨイ。
-そう呼ぶなって。
-ヨイ、これ見て。
その頃の島田は私を洋一ではなく洋一と呼び始めた。 理由はなく「ただ」と言った。 私は彼に嫌な顔をしたが、実は良かった。 島田がついに私にいたずらをしていたから。
-何だよ。
島田はにっこり笑って私に飛行機の内側を見せてくれた。 計器盤、翼。 順番にきらめく姿をしていた。 彼の顔も輝いた。 飛行機の内部見物を終えて、左に曲がって隠れていた反対側を見た。 その瞬間、私の表情も島田の表情も明るく輝いていた。
-サプライズ。
-島田、お前···
<hepi bartudai>
-お前···
その時も今も私は泣き虫だった。 綴りがまともに分からなくて間違った「happy birthday」という文字が、英語がうまく書けなくて歪んだ文字が、私を泣かせた。
「君と一緒だからむしろ幸せ」と言えなかったあの日の後悔が、
最初の私の誕生日に解けた。
-誕生日おめでとう、ヨイッチ。
-...ありがとう。
感謝の言葉が私の口から出たのは初めてだった。 みんな状況が状況なのでお礼を言うから。 私もそのような人々の一人だった。
-何だよ!泣き虫ヨイッチ、また泣いてるの?
-静かにして。それより君の綴りが間違っている。
首にかかったペンダントの中から3年間おとなしくしていた飛行機の鍵を取り出し、エンジンルームに差し込んだ。
カシャッ、かなりいい感じで鍵が回り、飛行機が作動した。
飛行機はもっと大きくなり、もっと完全になりましたが、
左側の胴体部分に大きく刻まれている「hepibartudai」というでたらめな英語は残されていた。 息を一度大きく吸って吐き出した。 チャンスは今日だけだ。
くぅ、くぅん
プー
船が停泊する音が聞こえた。
私は準備した通り、すでに準備した場所に向かっていた。
最後に島田に挨拶するために。
- イチマリ - いえ、イチマリ - いえ。
-君は包囲された。 おとなしく投降せよ。
あ、この名前久しぶりだね。
アヨと呼ばれるのが、何年ぶりだろうか。 「初美-陽一」と呼ばれた私の生命がいよいよ本来の名前で呼ばれる瞬間だった。 もちろん、良くない方に。
私はスポットライトが当たる地面の上を堂々と歩いた。
そして予想通り、兵士たちの一番前に島田がいた。
-久しぶりだね。
-イチマリ。 - いえ。 現時間で君を逮捕する。
-島田くん。私が一から十まで作った飛行機は見て行ったほうがいいんじゃない?
-…迫れ。
私は島田の古い手袋をはめた左手を持ち上げた。
そして中途半端に手を振った。
挨拶だった。私の最後の挨拶。
-ついてこい。
そして逃走した。 できるだけ速いスピードで走り去った。
飛行機を見せたかった。 島田が作った、あの作っていた飛行機を見せたかった。
タン!
弾丸が一発飛んできた。 耳元をかすめて通り過ぎると、少し切ったのか血が流れた。
ものともせず走った。 古びた建物に飛び込んだ。
そしてかすかな島田の叫びが聞こえた。
-射撃中止!あの女は俺が追う。 みんな待機して。
-はい!
1階の玄関を開けて入った。
3年間一人で過ごしていた時はよく分からなかったが、こう見ると1階の玄関がきれいに見えた。
それともこうやってでも島田がここに戻ってきてきれいに見えるのかな?
1階に置かれたほこりっぽいピアノが見えた。
-よく見て。これがド、これがラ、これがシ。
-うわ。島田、ピアノも弾けるの?
-いや、ただ知っているだけだよ。
ピアノ椅子の上に座って鍵盤を叩く姿が重なって見えた。 島田もそうらしく、しばらく足が止まった。 私は再び足を運んだ。
窮状に浸る思い出はこれ以外にも多いからね。
2階に上がる階段だった。
-よく見て!
-やあ、よいち危ない。
-全然。
どたばたという私たち二人の足取りのように、鈍い音が聞こえた。
手すりでいたずらをしていて落ちた。
-…あ···
-ほら、バカヨイ。 私が落ちると言ったじゃない。
あの日塗ってくれた軟膏はどこにあったっけ。
もう私が島田の心に軟膏を塗ってあげることはできないだろうか。
階段ごとに置かれているネジと釘に、島田はまた何かを考えているようだった。
2階だった。草が生えていてつるもあった。
私はその中で小部屋のドアを開けて入った。
島田も私がどこに行くのか知っているようだった。
飛行場だった。屋上に位置した、とても小さな飛行場。
-ヨイチ。
-うん?
-私、毎晩良くない夢を見るの。
-どんな夢?
その日、覆っていた毛布が暖かかった。 とげが生えていた私の心に、ぬくもりが染み込んでいたからだろう。
-君が飛行機に乗って行ってしまう夢。
-飛行機?
-君が飛行機に乗って行ってしまった。
島田はそのような言葉を口実にその日から飛行機を修理しなかった。
洋一という子に対する執着が増えていく時、
ある日、島田は去った。
私が飛行機で去るのではなく、船に乗って島田が先に去ってしまった。
-そこで!
-ふぅ···
荒い息が自然に溢れ出た。 胸が痛かったが走った。 簡単な理由だった。 ここで止まることはできなかった。
島田は、私が芝居をしていることを知らなかっただろう。
-…島田。
- はぁ…はぁ···
-この飛行機、覚えてる?
-お前..まさか···
ゴミ島。0区域はそう呼ばれていた。
-島田、もらって。
-何?
-僕の手袋。
黒いコーティングが施されたごつい手袋が、島田の右手に持っていた。
私が右側の手袋をあげた理由は簡単だ。 彼は左利きだったから。
-何で?
-お前手袋破れたじゃん。
私たちが交錯していることを示すのは手袋だけだったのだろうか?
-覚えてる?
私はここにいるとき、島田が好きだった。
-ヨイチ…いや、見えますか?
彼は右手を上げた。 洗練された革手袋がかぶせられた左手とは違って、右手に挟まれた手袋は粗雑で破れたみすぼらしい手袋だった。
それが私たちが完全に食い違っていないという証拠だった。
-待ってくれてありがとう、島田。
-あ、行かないで。
ブルルン、エンジンルームの点火装置が発動された。
彼があれほど念願していた幼い頃の飛行機だった。
-島田!飛行機作るの?
-うん。一緒にここから出よう。
-まるで星の王子様の飛行機みたいだね。
-....王子が乗るにはあまりにもみすぼらしいね。
エンジンの振動がヘンデルまで感じられた。
シートベルトなんかしないまま、首にかかっていたゴーグルを書いた。
-ヨイチ···いや、アヨ!
島田の叫び声がエンジン音に埋もれた。
私は、エンジンを加熱し、ペダルを踏んだ。
ブーン、とものすごい音がして飛行機が前に飛び出した。
夜明けの空気が肺を通って入ってきた。
飛んでいた。バカな古鉄塊飛行機は、私たちの夢だった飛行機は、今青空を飛行中だった。
ティン、ティン、ティンという弾丸がぶつかる音が聞こえた。 海辺の序盤まで飛行していた飛行機の機体から、うるさい警報音が聞こえてきた。
[エラー、エラー、エラー]
危険だと知っていたが、私はこの自由を享受したかった。
何歳なのか忘れるほど長い間切望していたその自由を、
やっと少しでも味わっていた。
ヘンデルにものすごい振動が伝わってきていた。
理由はなかった。 飛行機は爆発した。
まるで一つの花火のようにだ。
; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
-ヨイチ···
島田はそう泣いていた。
洋一、いいえを守るために自分が耐えた忍耐が、
こんなにバカだとは。
島田はそう、初めて「自由」というものを目で見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます