第一章 ・・・貴族かな?

「ととさん、この人だれ?」

「この人は…誰だろうね?」

「知らない人?」

「知らない人だけど、ととさんの危ないところを助けてくれた人だよ」

「ふうん・・・?」


イチゴアイスを食べてご機嫌な息子が尋ねてきたが、俺も聞きたい。

何気にお互い自己紹介してないしな。


「あ、ああ。申し訳なかったね」


相手も名乗っていないことを思い出したのか、身なりを整え、俺たちの方に向き直る。


「私はレイモンド・ロランという。レイとでも呼んでくれ」

「私は、メリィルージュ・ロランといいますわ。メリルと呼んでくださいな」


金髪美少女…もとい、メリル嬢は、それはそれは美しいカーテシーをしながら挨拶してくれた。


「ええと…二人はどういう関係で?」

「私たちは…「私たちは、兄妹ですの!」」


よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの勢いで、レイモンド…レイの言葉を遮る。


「ええっと、お嬢様?」

「メリルですわ!」

「…メリル嬢。お兄さん?の言葉を遮るのはどうかと思うよ?」

「お兄様だからいいのですわ!」

「いいわけないだろう!淑女ならたとえ兄であっても、遮ってはいけないとあれほど…!」


レイは妹に遮られたことに対して怒っていたが、よく見るとその目は笑っていた。

先ほどまで胸をはっていたお嬢様…もとい、メリル嬢は兄に怒られたことで、その小さな肩を落としていた。


妹のしょげる様子を見て、レイは肩をすくめると、妹と目線を合わせる。


「…怒っているわけではないんだ、メリル」

「お兄様…?」

「メリルはいつも言っていっただろう?お母様のようになりたいと」

「ええ、私もあんな立派な女性になりたいですわ!」


落ち込んでいたのがウソのように、キラキラした目で兄を見つめる。

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