第一章 早速倉庫へ行きましょう

「では、この水に血を垂らしてもらえますか?」

「わかった!」


拳ほどの大きさの小皿に水がはっている。

そこに血を一滴垂らすと、淡く輝いた。


しばらくすると、うすい灰色のカードが浮かび上がってくる。


「何度見ても不思議だなあ。水からカードができるなんて。これ、どうなってるの?」

「このために作られた魔道具ですから」


にっこりとはぐらかされた。

作り方はどうやら企業秘密らしい。


「じゃあ、換金と・・・あと、貯金の方もお願いしようかな」

「では、裏の方に回りましょうか」


受付嬢は俺が背負う荷の量を見て、ここだと狭いと判断し、広いところへと誘導していった。


促されるがままに倉庫の中に入ると、体格のいい数名の男性が待っていた。


「俺は解体士のケンゴだ。よろしくな」

「俺はガルグ、解体士だ」

「わしは元解体士のジジュじゃ」

「私は鑑定士のユウリです」


それぞれが自己紹介をするなかで、とある言葉がひっかかった。


「元解体士?」


「説明しますね。ジジュさんはあまりに腕が良すぎて、冒険者のみなさんは全員彼に頼むので、二、三年前に引退したのですが・・・ジジュさんに頼り切っていた弊害がここで出まして、未熟な若い解体士しかいないんです。その現状を嘆いたジジュさんは、次世代育成に力を入れることにしたんです」


「へえ、なるほど」

「おじいちゃんすごいんだねえ」


無邪気な笑顔でほめるわが子。


「こ、こら。初対面の人にいきなりおじいちゃんって言わないの」

「わしは気にせんよ。じじいなのは事実だしの」

「すみません・・・」

「早速だが、荷物を見せてくれ」

「はい、これです」


拾得物が入った全てのマジックポーチとリュックをひっくり返した。


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