ある女王と王子の話
mia
プロローグ
僕はトルマリン王国の王子、「リシュー・ユーヒ・リリバーシュ」。
この国の、絶対君主だ。
●トルマリン王国王宮 リシューの部屋
「リシュー様、こうした物資がアクアマリン王国から届いていまして、その返礼品を・・・。」
最近、アクアマリン王国からの支援物資が多い気がする。何も起きていないのに・・・。
「わかった、ターミ大臣。僕が返礼品をアクアマリン王国に渡してくればいいのだな?」
「はい、その通りでございます。あ、それでですね、最近アクアマリン王国の王様、ルイヒ殿が亡くなったらしく、新しい女王として、エマリア女王が就任されたそうです。」
「そうなのか、報告感謝する、戻って良いぞ。」
「分かりました。」
それにしてもアクアマリンの王が亡くなったのは驚いた。この機会に墓参りでも行ってあげよう。
さて、アクアマリン王国への返礼品の話だ。この国は色々なものがある。
「待て、ターミ。」
「はい、なんでしょうか?」
「返礼品選びを手伝|手伝え。」
「ハハッ。」
●アクアマリン王国王宮 門の前
「お待ちしていました、リシュー様。エマリア様がお待ちです。」
僕はエマリア殿の部屋へ向かっていく。
●アクアマリン王国王宮 エマリアの部屋
コンコンコン
「エマリア様|、トルマリン王国の王子がおいででございます。お部屋を開けてくださりませんか?」
「うむ、よいぞ。」
ガチャ
「よく参った。わらわはこの国の女王、エマリア・イバー・リリシュじゃ。お主がトルマリンの王子じゃな?」
「はい、僕はトルマリン王国の王子|王子、リシュー・ユーヒ・リリバーシュです。」
「まあまあ、ゆっくりしてゆくがよい。メイドにブリオッシュを作らせておいた。紅茶と共に食べてみてはどうか?」
「ありがとうございます。さて、物資の提供についてですが、この度はありがとうございました。」
「よいよい、この国は栄えておる、物資の提供の1つや2つなど気にすることはない。」
「それでですね、エマリア殿はお菓子がお好きとお聞きしました。なので、イチゴのお菓子の詰め合わせです。もちろん、この国自体にも、返礼品は送りますが、まずはエマリア殿のものから。」
「おー!これは良いものじゃ。イチゴのグラッセ、イチゴのプリン、イチゴのクッキー・・・。美味しそうなのばかりじゃな!」
「気に入ってもらえて嬉しいです。あ、あと、ルイヒ前王様の死、お悔やみ申し上げます。」
「ああ、そのことじゃな。あの方は偉大なお方じゃった・・・。この国で唯一ルイヒ王の血を受け継ぐ者として励まなくてはならない。」
「エマリア殿はルイヒ王の娘なのですか?」
「いや、ルイヒ王とわらわは遠い親戚でな・・・。なぜかわからないが、わらわが女王となったというわけじゃ。」
コンコン
「失礼します!」
「なんじゃ、今は落ち着いて話をしたいのじゃが、重要ではない用事なら聞かんぞ。」
「いえ、とても重要です!それがですね・・・。」
「それが・・・、なんじゃ?早く行ってみるが良い。」
「ルビー王国とキャッツアイ王国が戦争を始めようとしているのです!」
「なんじゃと!?リシュー、お前も早くトルマリンに戻って準備をした方が良い。」
「そうですね・・・、今すぐに家臣を呼んで帰るとします。」
「うむ、それが一番じゃ。今日、楽しい時間だったぞ、また来るが良い。」
「はい、ありがとうございました。またトルマリンにもいらっしゃってください。」
とりあえず挨拶を済ませて帰る支度をする。
それにしても、とんだ大惨事になったもんだ。
早く帰って戦争の準備をしなくては・・・。
●ルビー王国女王 リリイ・ナジー・ルビ二シュの部屋
「リリイ様。3剣士が一人、ルイカでございます。お部屋に入ってよろしいでしょうか?」
「ルイカですね。開けてどうぞ。」
「失礼いたします。戦争の件でございますが、今すぐおやめになられてはいかがですか?大体、親衛隊長もキャッツアイにやられていることですし・・・。このままでは、ルビーの人口減少に繋がってしまいますよ?」
「ルイカにしては大きな態度で話しますね。そもそも親衛隊長がやられたのは国で1番の剣士のあなたたち、3剣士がしっかりと働いていないからではないですか。それに、親衛隊長が死んだことでなに慌てふためいているのでしょうか?親衛隊長が死んだなら、あなたたちが私を守ればいい話。そんな簡単なこともわからないのですか?全く、役に立たないですわね。」
「も、申し訳ございません・・・。」
「私に話すときの態度がわかったなら、早くここから出てってちょうだい。」
「はい、失礼いたします。」
●アクアマリン王国王宮 エマリアの部屋
コンコンコン
「エマリア様、失礼いたします。」
「うむ。おお、メイド長のニーナではないか。何かあったか?」
「はい、今先程報告が入ったのですが、エマリア様のお付きの執事が急用で報告できないため、私が参りました。」
「わらわのお付きは今何をしておるのじゃ?」
「キャッツアイの兵600人の手当てをしております。今この部屋の警備に当たっていたのは私ですが、私はこのお話が終わり次第、手当てを手伝いに行きますので、大変申し訳ありませんが、これからの警備は親衛隊長、副隊長を呼んでください。」
「うむ、分かった。わらわの警備をしてくれて助かったぞ、ニーナ。」
「誠にありがとうございます。」
「さて、報告があるのじゃろう?どうしたのじゃ?」
「はい、ルビーとキャッツアイの戦争についての話ですが、ルビーの女王付きの親衛隊長がキャッツアイの兵士3名にやられたそうです。」
「そうなのじゃな?ルビーは慌てていたりするか?」
「いいえ、私はルビー王国王宮のメイド長とプライベートでは友達なのですが・・・。そのメイド長は、『リリイ様の様子を伺っていると、何も慌てている様子はない』とおっしゃっていました。」
「わかった、報告感謝する。あ、それと、わらわは少し外に行きたい気分でのう、わらわのお付き1人と親衛隊長を玄関口まで立たせておいてくれるか?わらわは準備してから行く、と伝えておいてくれ。」
「分かりました。どこで何をするのですか?」
「前、トルマリンの王子からもらったイチゴのお菓子の詰め合わせを食べようと思ってな。召使いのライナが言っていたのじゃが、今日は快晴と聞く。だから、わらわは外で食べたいのじゃ!」
「そうなのですね、楽しんできてください。馬車を用意いたしますか?」
「いや、わらわは最近運動不足じゃから、歩きで行こうと思う。」
「承知いたしました。では久しぶりのお散歩、楽しんできてくださいませ。」
「うむ、ニーナ。下がって良いぞ。」
「はい、失礼いたします。」
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