死ね、死ね、死ね。殺したい、死んでほしい、殺したい。

エリー.ファー

死ね、死ね、死ね。殺したい、死んでほしい、殺したい。

 動画の先に見えるのは、私の知らない世界だ。

 もう少しだけ英雄でいたい。

 誰もが知るような人間でいたい。

 さようなら。

 僕とあなたで作り上げた世界。

 さようなら、あなたのために用意した煉獄。




「もう少しだけ、自分を見失わないようにしたいのです」

「気持ちは分るけどね」

「でも、戦いに身を投じたくなってしまうのです」

「諦めるのも必要なんじゃないかな」

「もしも、私の知る限り」

「世界が壊れてしまっても」

「会えて、光栄だったと」

「言ってくれますか」




「どうして、ここで待っていてくれたのですか」

「茶色い悩みを抱えて生きていくのは余りにも難しいからだよ」

「どうしても、どうしても、ここから出たいのです」

「分かる。気持ちは、分かるよ。でも、無理なんだ」

「だって、出口はあるはずでしょう」

「ないんだ。もう、どこにもない。閉じ込められたわけじゃない、閉じこもったんだ」

「山椒魚」

「そう、その通り。山女魚でもいいね」

「ぶくぶくと音がします。水中だからですか」

「いいや、閉じ込められた者たちの怒りだよ」




「健康が一番の宝ですよね」

「間違いないね」

「死んだら終わりですか」

「そう、その通り。死んでしまったら終わりだ。残念ながら、ね」

「可能性の話をしてもいいですか」

「可能性しかないんだ」




「黒いスーツを着た死神が来て、生きることについて問うておる」

「厄介、極まりない」

「この物語は繋がっているのですか」

「すべてだ」

「すべて、とは」

「すべてが繋がっている。いや、繋がってしまった」

「そう、寂しさが」

「そう、寂しさが横たわっている。死が待っている」




「投げ出された言葉だけが、今日を創り上げるのです」

「もう少しだけ、今日を抱きしめたいのです」

「転んで下さい」

「上昇する期待値のために、死を創り上げる」

「あなたの世界には、何が住んでいるのですか」

「コンテナの中に仕舞って下さい」

「意識、ありますか」

「ないです」

「意識なんて、必要じゃないですよね」

「意識を失って手に入る世界がやって来る」

「中国って、どこですか」

「国の中か、中にある国です」

「なるほど、理解のある世界に生きているのですね」

「そうです。そういうことにしましょう」

「もう、いいですか」

「はい、もういいです」

「じゃあ、帰宅しますね」

「どうぞ、帰宅して下さい」

「さようなら」

「あの、ちょっと待ってもらっていいですか」

「はぁ。そうですか」

「なんで、そんな言い方をするのですか」

「あなたに飽き飽きしているのですよ」




「死ね、とか。殺す、とか」

「嫌いだとか」

「ウザいとか」

「やめちまえとか」

「なんで、そんなことを言うのですか」

「いや、言っていいでしょ」

「え、なんで」

「だって、何を言うかは、その人の勝手でしょ」

「まぁ、そうだけど」

「バカなんじゃないの」

「ほら、また言った」

「バカって言われるようなことをしてるのがいけないんでしょ」

「酷い」

「確かに、酷いくらいのバカ」




「別に、感想の一つや二つ、自由に言っていいものだと思うけどね。逆に、必ず褒めなきゃいけないとか、全体主義じゃないんだからさ。流石に怖すぎるでしょ、怖い、怖い」

「で、その自由な感想に自由に感想をや意見を言うのも正しいよね」

「そう、残念ながら、すべてが自由」

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死ね、死ね、死ね。殺したい、死んでほしい、殺したい。 エリー.ファー @eri-far-

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