男はいつまで経っても煩悩だらけ
紅野素良
大人になっても中身は高校生
「なあなあ、お前はどっちだったらいい?」
隣のツレは先程からなぜかずっと興奮している。
「なんの話だ?」
彼は少し声のボリュームを落として
「決まってんだろ!若くて可愛い子か経験豊富な子かどっちがいいんだよ!」
何も決まってはないが。
「正直どっちでもいい……お前はどっちなんだ?」
「それはもちろん若い子に決まってるだろ!もしかしたら終わった後も………ぐふふ。」
正直キモイ
「お前もどうせ若い子がいいんだろ、このムッツリめ」
「………俺は多少の経験がある人がいいかな」
「ほー、そっちタイプか。まあ気持ちよく、さっぱりさしてもらえればなんでもいいけどな」
「それが目的なんだから当たり前だろ」
「たしかにな。でもこんな話してて俺らの担当の人どっちもお「お次のお客様!お待たせいたしました、こちらにお願いします」
「おっと、お先に失礼するぜ」
そう言い残すと軽やかなステップで奥に消えていった。
「お待たせいたしました。お次のお客様もこちらへどうぞ」
程なくして俺も呼ばれ、彼の後に次ぐ。
「先に洗わせていただきますね」
そう言うと奥に案内される。
「では、タオルをかけていきますね」
手馴れた手つきでタオルをかけられる。
シャワーの音がする。
「気持ちいいですか?」
「あ、はい」
当たりだ。経験豊富な子だった。
程なくして全行程が終わる。
「ありがとうございました!」
「いやーお前もさっぱりしたな!」
「お前もな」
「それにしてもこの美容院なかなか腕がいいな!また来ようぜ!」
「そうだな、次もここで切ろう」
そんな話をしながら俺らは駅に向かった。
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