127 ガキ

 タッグトーナメントは、初めて”上級生”と”中級生”と戦うことができる、お披露目会みたいなものだ。

 といっても、この学年で一年、二年先輩は伊達じゃない。


 厳しいポイント戦争に勝ち抜き、更にそれを楽しめる・・・・者たち。


 これは、先輩たちはこんなに強いのか、と興奮させる、下級生からすれば所謂負けイベント・・・・・・


 の、はずだったが――。


『下級生10番、ポルカ・トイス、行動不能、行動不能。ベルク・フリーデ、エマ・ストーンにポイントを付与』

『下級生14番、エリベート・ファマ、行動不能、行動不能。ベルク・フリーデ、エマ・ストーンにポイントを付与』

『中級生07番、ライン・トリニア、行動不能、行動不能。ベルク・フリーデ、エマ・ストーンにポイントを付与』


 俺は、魔法鳥のアナウンスに耳を疑っていた。


「はっ、これも改変か」


 ベルクとエマは、俺とシンティアに声を掛けてきた下級生ガキ二人だ。


 ノブレス・オブリージュの主人公はアレン。


 原作では後輩に大したやつは現れない。現れるとしたら同級生か先輩、そしてサイドストーリーだ。


 しかし――。


『上級生14番、ロイ・ミア、行動不能、行動不能。ベルク・フリーデ、エマ・ストーンにポイントを付与』

『上級生08番、アリエル・トリニア、行動不能、行動不能。ベルク・フリーデ、エマ・ストーンにポイントを付与』

 

 今起きている出来事は、俺のノブレスの常識をすべて覆している。


「おもしろいですね」

「ああ、そうだな」


 すると俺の隣にいたシンティアが、嬉しそうに笑った。

 前回はカルタがペアの相手だったが、今回は彼女だ。


 ちなみにリリスは魔族を倒して以来、とんでもない強さでポイントをぐんぐん伸ばしている。


 先日の授業では、あのデュークを一人で倒していた。


 単純な体術ではもはや右に出る者はいないだろう。


 そしてそのとき、森の中から現れたのは――。


「!? ヴァイス先輩!? よっしゃあ! 手合わせお願いしまッス!」

「シンティア先輩だああ! かわいいいいいい! あたしもお願いします!」


 下級生ガキだ。


 だがその漲る魔力は、まったく可愛げがない。

 俺たちが下級生だったころよりも遥かに強い。いや、強すぎる力だ。


 なんだこいつら?


 フリーデ家とストーン家……。


 そういえばどっかで聞いたことがあるような。


 ――はっ、そういうことか。


 ったく、相変わらず飽きさせてくれないな。


 ノブレス・オブリージュは。


「かかってこいガキ・・ども」


 ――――

 ――

 ―


『下級生01番、ベルク・フリーデ、行動不能、行動不能。ヴァイス・ファンセントにポイントを付与』

『下級生02番、メリル・ストーン、行動不能、行動不能。シンティア・ビオレッタにポイントを付与』


「――やっぱ、つ、えええ……」


「シンティア先輩……かわいい……」


 魔力が漏出し、二人が気絶する。


 周囲の森はもはや荒地と化していた。

 木々の合間から、シンティアの姿が見える。


 周囲は氷で凍っており、驚いたことに、その手には氷剣グラキエースが握られていた。


「はっ、そっちもか」

「ええ……大変でした」

「デビビッ!」


 そして俺の上空にも、デビが浮いていた。

 手には、魔法剣デュアルソードが握られている。


 ったく、本物・・どもの相手は苦労するな。



 だが――おもしろい。


 想像を超えたことが起きるのは、やはりこのゲームの醍醐味だ。


 ヴァイス・・・・、お前にも見せてやる。


 最高の未公開をな。


 ◆


 三学年タッグ戦。


 ヴァイス・ファンセント、撃破数25人、上級生15、中級生8、下級生2。

 シンティア・ビオレッタ、同上。


 アレン、撃破数20人、上級生7、中級生11、下級生2。

 シャリー・エリアス、同上。


 リリス・スカーレット、撃破数15人、上級生3、中級生7、下級生5。

 トゥーラ・エニツィ、同上。


 デューク・ビリリアン、撃破数14人、上級生4、中級生6、下級生4。

 セシル・アントワープ、同上。


 オリン・パステル、撃破数13人、上級生3、中級生8、下級生1。

 カルタ・ウィオーレ、同上。


 エヴァ・エイブリー、撃破数1人、上級生1、中級生0、下級生0。

 タッグなし。


 ベルク・フリーデ、撃破数23人、上級生2、中級生4、下級生17。ただし生存ポイントなし。

 メリル・ストーン、同上。ただし生存ポイントなし。


 ───────────────────


 ちなみに第一回目も、何気にデュークはセシルと組んでいます。

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