妄想アトガキ全集

雨宮 未來

第1話 エピローグ

 事の発端は私の書いた文章をリアルバレした事だった。

拙いヘタクソな私の小説を、会社の後輩に偶然見つかってしまったのだ。

こんな事ある!?と動揺する本人を置いてけぼりにしたまま、普段からぶっ飛んでいる後輩はこう言った。


「そういえば先輩、小説とか書けるならアトガキとかって得意です?」


この突然に投げつけられた質問の意味が全く理解できなかった私は、どこかのモンスターのように驚き戸惑った。

小説が書けるなら、後書き得意……?

え、文章書けるならってこと?

パワーワードすぎんか……?


しばらく考えても理解出来ないので、早々に考えることを諦める。


なので「……書いたことがないです」と真面目に答えた。


後書きとは。

一般的に本編を書き上げた感想のこと。

執筆時の苦労や発見、エピソードを綴る執筆体験談のことらしい。


執筆体験談……?何それおいしいの?


そもそも後書き得意な人っている?

あとがきって得意とかいうジャンルで考えていいものなのか?

困惑して両手を噛む私に後輩はにっこりと微笑む。


「じゃあ練習しなきゃですね!」


あとがきの練習とは?

じゃあって何!?


再び固まる私に無邪気な笑顔が投げつけられる。

もう全くもって理解ができないのだが、とりあえずぶっ飛んでいるこの後輩に逆らうことはしない。めんどくさいから。


なので「じゃあそうします」と答える。

わからないまま答えんなって話だが、私はこういうとこがあるのだ。


あとがきの練習。

ここでなんか開き直った。

『そうします』と言った手前、挑戦しないわけにはいかない。

……気がする。


だけど練習なんかしない。

だって面倒くさいから。


だったら書いた作品が書籍化したという妄想で後書きを書いてやろうと。

本編なんかない。

タイトルだけで思いつく限り苦労や体験を妄想しよう。

体験してない玄人は何ぞやというツッコミは箪笥の隅にも置いといて。


溜まっていくプロットの供養にもなるし?


そんなおバカな私のあとがき集。

全てが妄想から生まれたということを踏まえて、本人に質問やツッコミで辱めに合わせるのはやめてほしい。


全ては自己満足と、あなたのお暇を埋めるために。

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