第29話 花屋と廃教会


前回のあらすじ:精霊伝説なる本を読んだ。

        特に手がかりはなかった。


どうも皆さんこんにちは、最近ウチの雪花が変な言葉をどこからか覚えてくるなと思っていたらまさかの天花から覚えていたことについ最近気づきましたセイです!

ただいま俺たちは鎖依頼チェーンクエストを受けて花屋に来ています。

鎖依頼チェーンクエストって何かって?

例えば、大工の依頼クエストを完了したら、依頼人の息子を紹介されて、その息子さんの手伝いを依頼される…、てきな?


「それにしても…、この花屋めっちゃいろんな花があるな。」

『ほんとだ〜』


でもね、肝心の店主が見つからない。

声をかけても見つからない。

なんなの?


「雪花、ひとつだけ花を買ってやるから、選んでいいぞ」

『ホント!?やった!』


バッと飛び出す雪花。

俺も俺で探そう。

えーと、ラベンダーにガーベラ、バラにマリーゴールド……、


『セイ〜!』

「はいはいわかってるから大きな声出すなー」


雪花の声のする方に行く。


「あれっ?雪花?雪花ー?」

『こっちー』


え?どこ?

声が…、壁の向こうから聞こえる?


『だからこっちだってば!』


いやだから、どこだよって!


「ええい、察知サーチ!」


察知サーチは、気配察知の下位互換だ。

近づいているヤツが敵かはわからないけれど、近くにいる『生き物』の場所を知れる。


「っ、やっぱり壁の向こう?」


壁に手を当て…、あれっ?


「あらららら〜」


手が壁を擦り抜けた。

ゆっくり近づくと、壁はどんどん腕、肩と飲み込んでいく。

意を決して…、入る!!


とぷん…


「ん…?」


ここは…?

薄暗い…、廃教会のような場所。

ボロボロに古いけれど、ちょうどよく日が差し込んでいる。


『セイー、こっちー』


雪花の声がする…。


「雪花?このドアの奥?」

『そうそう』


ガチャッ


ドアを開けると、淡い光が目に入った。

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