茶釜⑤

第48話 エルフの里①

 また屋台の並びに戻ったら、ミディアちゃんは買い食いを再開して。


 気持ちの良い食べっぷりを見せてもらったら、あとはどうしようか? ってなったわ。パフォーマンスとかは無くはないけど、おじいちゃん神様のを見た後だと他のは見応えがないだろうとミディアちゃんが言ったから。



「せやなあ? ちょいと里回ろか?」


『あら、いいの?』



 今日がやっと出回れた日だとは言え、ミディアちゃんに歩きっぱなしは大丈夫か心配だったけど。


 ミディアちゃんは、『ええよ』と言ってくれたわ。



「買い食いも満足したし、ポットに案内出来んのも今日くらいやからなあ」


『じゃ、お願いするわぁ』



 あたしは根付けじゃなくて、かんざしのままミディアちゃんの髪の下で揺れているけど。


 ゆっくりゆっくり、ミディアちゃんは祭り会場から離れていく。


 ガヤガヤから離れれば、里って言うのは結構静かのようね?


 誰もいないわけじゃないけど……奥地とかの観光名所みたいな感じ。


 会場を抜けたら、『のんびり』って言葉が似合う風景に入ったわ。


 木とかも、なんか輝いているみたいに……日本の名所とかとも違った。形とかも、樹齢云千年くらいの馬鹿でかいもんとかがあちこちに。


 行ったことないけど、九州の縄文杉とかと比較出来るくらいね?



「ここは居住地やないけど、のんびりした場所やろ?」


『住むのは、みんな上なの?』


「せや。奥の方にでっかい河があるんやけど、定期的に氾濫すんねん。けど、必要なことや。森に良い土運んでくれるし、水を与えてくれるんよ」


『へー?』



 なんか、ふっるーい記憶だと……エジプト文明? の土壌とかと似てるわね?


 けど、そう言う理由があるなら、ツリーハウスも納得だわ。


 今は、その氾濫時期じゃないからお祭りとか出来るんだって。



「もう何千年も繰り返しとるんやけど、人間との交易は

 ぼちぼちやなあ? 里には、決まった人間しか入れんねん」


『……アタシはいいのん?』


「ポットは今茶釜やしなあ? かまへん」



 なんか、その。


 胸なんて今はないけど、こしゃばゆく感じちゃうじゃないのさ!!

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