第46話 おじいちゃん神様じゃない①

「さーあ、お立ち会お立ち会い!! 我らが、神が披露してくださる舞が始まるよ!!」



 広場の中央にあるっぽい、大きな舞台があったんだけど。


 司会者みたいなエルフの兄さんが、大声でそんなことを言ってたわ。


 ミディアちゃんは……魔法って言ってなかったかしら?


 今は人混みならぬ、エルフ混みでいっぱいだから……ミディアちゃんはアタシに話かけられない。


 根付けのアタシじゃ、だんだん視界が下にいくと思いきや。


 ミディアちゃんが、帯から外して……かんざしのように、頭を髪にさした?


 一気に前が見えたわん。



『……ありがと』


『こんくらいええよ』



 そのやり取りだけしたら。


 一気に、騒いでいたはずの……エルフ達が静まったわ。


 何事? と前を見れば。


 舞台の上に……炎? が浮いてたわ!?


 赤い……火の玉?



「……此度は楽しもうぞ」



 しわがれたおじいちゃんとかの声じゃない。


 拡声器使ったように……会場に響いたのは、めちゃくちゃイケボだったわ!?


 びっくりしていると……火の玉から手足のようなものが伸びて。


 形ができて、ボォ!? と音が大きく聞こえたら!!


 赤い長髪が綺麗な、美形な男になった!?


 誰あれ!?



「……神さんやで?」



 ミディアちゃんが、アタシが驚いているだろうから……こっそり伝えてくれたんだけど。



(信じられるわけないでしょ!?)



 なんで、普段からあんなイケメンじゃないのよ!?


 心臓ないけど……ときめきで爆破しそうよん!?


 推しのコンサートで、着飾った推しへのコールをしそうなくらい……テンション爆上がりだわ!!


 キャッキャしたいけど……あれはおじいちゃん神様。


 ダブらせて見てみても……全然同一人物に見えない!!


 おじいちゃん神様らしい、美青年は持ってた扇子をはらりと開き。


 自分の周りに、幾つものちっちゃな火の玉を出したわ。たしかに……それは魔法ね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る