第42話 芸妓も浴衣へ

 そして、お祭り当日。


 ミディアちゃんへの浴衣依頼も、何とか前日に無事終わり。


 今日は今日で、ミディアちゃん自身の浴衣をささーっと仕上げたら……『どや?』って、ミディアちゃんは着替えてからアタシに見せてくれたわけ。



『お似合いだわ〜!』



 大きなピンクとか赤の牡丹柄。


 派手に見えて……でも、どこか清楚にも見えるのよねぇ?


 ミディアちゃんご自慢の金髪も……いつもの芸妓ちゃん仕様じゃなく、後ろでまとめられているのがグット。


 そこに、お祭り用のうちわとか加わって雰囲気出まくり!!



「おおきに。自分のやから、ざっくり適当に作ったんやけど」


『……ざっくりって』



 あの早技が適当に見えないのよね? 本人がいいならいいんだけど。



「まあ、うちより依頼の方がちゃんと出来てよかったわぁ。ポットがちょいちょい休憩言ってくれたおかげもあるで」


『……そうね』



 下手したら、寝食忘れて没頭しそうだったもの。あれは良くないわ。


 とりあえず……お祭りは夜じゃなく、昼から始まるらしいんで。ミディアちゃんは、当初の予定通り……アタシを小さくして根付けって道具にしてくれるらしい。



「ほな」



 くるっと指で円を描くように回すと。


 アタシの視界が……少しずつ、ちっちゃくなっていくのがわかる。


 もうこれでもか! ってくらいになったら止まって……ミディアちゃんがひょいっとつまんだわ。



『出来たの?』


「見てみ?」



 鏡の前に持ってってくれると……かんざしのような棒の上に、ストラップのようになってアタシがぶら下がってた。地味な茶釜のままだから、ちょっと不恰好だったけど。



『……魔法すごいわねぇ?』


「こんなもんよ。ほな、行こか?」


『はーい』



 アタシはミディアちゃんの帯にさしてもらい。


 ぶら下がったけど、あんまり振動が無いから酔ったりしなかったわ。ミディアちゃんが何か追加で魔法をかけてくれたのかも。


 ツリーハウスから出ると、ミディアちゃんはテラスから

 跳んで……ゆっくりと地面に向かって降りて行ったわ。

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