第41話 祭りに必要な
お祭り。
ミディアちゃんとこに、わざわざ着物を仕立てる依頼が来るってことは……日本形式?
今いる、エルフの里はほとんど回ったことないけど……着物や茶室があるってことは、その可能性も捨てきれない。
(ああ、ああ!)
焼きそば。
お好み焼き!
チョコバナナ!
ベビーカステラ!!
他もろもろの屋台メニュー!!
和菓子が日本のとそっくりなんだもの! それくらいあってもおかしくないわん!!
アタシは食べられないけーどぉ!!
(……けど、眺められるだけでもヨシとしないと)
大きさ変えてまで、一緒に回ってくれるミディアちゃんには感謝だわ。
そして……祭りまで、あと三日後になったんだけど。
「……あぁ。終わらん」
ミディアちゃんには、浴衣の注文がわんさか来てしまったそうなの。
パパっとは作れる職人さんなんだけど……量が多いこと多いこと。腕前もいいから、どんどんどんどん来るみたい。
おまけに、今年のお祭りはあのおじいちゃん神様からのビックイベントがあるらしくって……いつも以上に盛大になるそうなの。
だから……皆こぞって着飾りたいみたい。
『……大丈夫? お茶、淹れる?』
「んー。飲みたいけど、ちょいここ終わらせば」
『それさっきも言ってたじゃなぁい? 休憩も大事よ?』
「……せやなあ」
アタシもオタ活してた時は……ミディアちゃんのこと言えないけど、寝る間も惜しんでイベントチケットゲットのために画面とかに張り付いていたわ。
比べるまでもないけど……何かに熱中すると、人って寝食忘れるのよねぇ? ミディアちゃんはエルフでもそれは同じで。
アタシは、ちょっとずつ慣れてきたコンロに乗せられ……今日もお湯を沸かすわー。
『疲れた時こそ、リフレッシュよん? 甘いお菓子と玉露がいいんじゃないかしら?』
「……ポットって、ほんま世話焼き上手やんな?」
『元ホストだもの』
話術、気遣いに関しては商売道具にしてたんだもの?
ミディアちゃん相手に商売する気はないけど……エルフ年齢でも、アタシが人間だった頃とタメくらいと分かれば。
なんか、自然と世話したくなるのよね? 話し相手とお茶程度だけど。
でも……ほとんどひとりぼっちだったミディアちゃんには、嬉しいことだったみたい。
今も、魔法で保存してた葛饅頭と一緒に玉露ぽい緑茶を飲んで……『ほぅ』と息を吐いてた。絵になるわぁ……。
「沁みるわぁ。休憩必要やったなあ?」
『適度にひと息吐けないと、商品も良いもん出来ないんじゃない?』
「せやなあ? うちじゃ、加減わからへんのよ。ポット……そこんとこ見とってくれへん?」
『良いわよ』
浴衣作りも見てるだけでも楽しいけど。
お世話になっているエルフちゃんが、無理しちゃうのもよくないもの。
寝る必要も極力ない身体だし、アタシは引き受けたわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます