第26話 兎にも角にも



『……とりあえず、ここって『異世界』なの?』



 アタシは、それも聞きたかったので二人に問いかけると。


 エルフ芸妓ちゃんはうーん? って首ひねったけど……神様ぽいじいちゃんは手をぽんと叩いたわ。



「そうじゃな? お主にとっては、異なる世界……異世界とも言うじゃろう」


「して師範。この茶釜には、ヒトが憑依しているん?」


「そのようじゃ。あの子も面白いことをするのお?」


『あの子って……さっきから言ってるけど、誰?』


「お主を憑依……いや、この場合『転生』やもしれぬ。つまり、ワシと同じ『神』じゃよ」


『やっぱり、そのパターン!?』



 無機物じゃなくて、エルフ芸妓ちゃんのようにして欲しかったわよ!?


 アタシ……もし、生まれるなら女がいいと思ってたんだから!!



「ほーん。元はヒト。男声やのに、話し方は女。えらい……おもろい茶釜やわ」


『アタシは『―――』よ!!』


「うん?」


「前世の名前は、聞こえぬようにされとるのお? ワシには聞き取れるが、ミディアには教えれぬようじゃな?」


『……なんですってぇ!?』



 エルフ芸妓ちゃんには、きちんと名乗りたかったのに!?


 なんでよ!?


 じいちゃん神様もだけど、アタシを転生させた神様も意地悪ぅ!!

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