デスゲームから生還したイケメンがよりによって主催者に狂ってて愉快だったのでインタビューしてみた件

何屋間屋

第1回 熱狂的な愛と運命のデスゲーム〜センジュ氏、コスゲへの想いを語る〜

──まずはお名前とご職業を教えてください。


センジュ: おおっ、まずは基本情報プロフィールからですね!僕の名前はセンジュ、職業は普通の大学生です。今はコスゲたんの追っかけしてます!よろしくお願いします!


──センジュというのは本名ではありませんよね?


センジュ: はい!でもせっかくコスゲたんがつけてくれたニックネームですし、コスゲたんも僕のことセンジュって名前で認識してると思いますし!もしコスゲたんが僕のインタビューを読んだ時に僕だって認知して欲しいじゃないですか!なので記者さんも僕のことはセンジュと呼んでください!


──では、先程から何度も名前が出ている近年世間を騒がせている正体不明のデスゲーム主催者、コスゲについてですが──


センジュ: コスゲたんはね!僕の人生なんだよ!なんといっても顔が良い!彼女の銀髪はまるで星の輝きみたいで、赤い瞳は魂を染め上げるよう!まるでフランシス・ゴヤの絵画の中から飛び出してきたような、まさに美しさと恐怖が奇跡の融合を果たしている存在だよ!!


──落ち着いてください。……では、貴方が参加したデスゲームについて教えてください。


センジュ:すみませんつい興奮してしまって……。ん、んんっ。はい。初めてのデスゲームはまさに一大冒険でしたよ。参加者はみんな白い部屋に閉じ込められて、まさに絶体絶命って感じでした。部屋には不気味な沈黙が広がっていて、みんなパニック状態!でもそんな状況でも、僕は一つだけ希望の光を見つけたんだ!


──コスゲですか。


センジュ: そうなんだよ!コスゲたんとの出会いはまさに運命的だったんだ!デスゲームの始まりと同時に、巨大なモニターが現れて彼女の姿が映し出されたんだ。その瞬間、僕の心はときめきまくった!その赤い瞳が僕を虜にしたんだ。一目惚れしちゃったんだよ、笑。でもその後は彼女の声だけが聞こえて、モニター越しにしかコミュニケーションできなかったんだけどね。でもそれでも、僕の中でコスゲたんとの特別な繋がりが生まれたんだ!


──今となっては他参加者の方々の真意を知ることは出来ませんが、センジュさんは彼らにどう思われていたと考えます?


センジュ:「皆を笑顔にする存在」かな!


──ははっ……失礼。インタビューを続けます。部屋の状況については私達もTV中継されていたので知っていますが、他の参加者が謎解きに失敗し、次々に殺されていくのを見て何を感じていましたか?


センジュ:正直なところ、それを見て心が揺れましたね。デスゲームの中で他の参加者が残酷な方法で殺されていく光景は、衝撃的であり同時に悲しみも感じました。でも、それを目の当たりにすることで、命の尊さや現実の厳しさを改めて実感したんです。一方で、だからこそ僕はそれに抗う勇気や生き抜く意志を強く持つようになったんですよ。絶対に生きてここから出てやるぞってね。


──先程も申し上げたとおり、部屋の状況については私達もTV中継されていたので知っています。なので死体が増えるたびにセンジュさんが「やった死んだ!コスゲたんが出てくる!」って言いながらモニターの前にスライディング正座してたのを見ていますからね?


センジュ:いやーあの時はコスゲたんマジ残虐!超推せる!って感じでしたね。


──はい、次の質問です。そんなことをしていたセンジュさんは当然のように他参加者の方から内通者であることを疑われ首にナイフを突きつけられていたわけですが、あの時のセンジュさんはどんな心境でしたか?


センジュ:こうなったら、ここでドラマチックに死んで絶対にコスゲたんの大脳に長期記憶として残り続けてやるっ!て思ってましたとも!


──思ってたこと全て言葉に出していたということですね。ちなみに専門家によればコスゲがモニター越し、声だけとはいえ好奇の感情を見せたのは初めてだったそうですよ。良かったですね。


センジュ:これはガッチリ心を掴んだということですね!


──次の質問です。センジュさんはただ一人生きてあの部屋から脱出しました。生き残れた要因はなんだったと思いますか?


センジュ:それはもう!言葉に尽くしがたいほどの!病的なまでの!コスゲたんへの愛だよ!


──謎を解いて扉が開いて、他参加者の方々が部屋から出ていく最中に黙々と巨大モニターを解体し始めたセンジュさんは我々傍観者からすれば確かに病気のようにも見えたかもしれませんね。


センジュ:コスゲたんが用意した、コスゲたんが設置した、コスゲたんを一度でも写したモニターなんですよ。持ち帰って保管したいに決まってるじゃないですか。


──結果的にそのモニターの中に本物の扉の鍵があって、センジュさんだけが生きて帰れたわけですけどね。


センジュ:僕だけじゃないですよ!コスゲたんモニターもですね!


──はいはい、では最後の質問です。センジュさんはコスゲが主催する次回のデスゲームへの参加を熱望しているとの噂を耳にしたのですが……


センジュ:そうですよ!僕は次回のデスゲームに参加したがっていますよ!なぜって、もちろんコスゲたんに再会するためですよ!みんな歌って踊れる推しに会うにはライブに参加するでしょ?僕もそれと同じ!彼女が主催するデスゲームに参加することで、再び彼女と対面できるかもしれないチャンスが生まれるんだよ!


──危険だとは思わないんですか?


センジュ:そりゃあ危険ですよね。コスゲたんが一生懸命考えたデスゲームなんだから。でも僕にとってその過酷で危険な試練を乗り越えてコスゲたんに認知してもらうことが、誰でもない僕自身の人生を充実させるために必要なことだって気づいたんだ。限られた時間の中で僕がコスゲたんの考えた謎を解き、そんな僕をコスゲたんがずっと見ていてくれる……これって本当の意味で生きてるってことなんですよ!わかります?


──ははは。ではこれにてインタビューは終了となりますが、この記事をご覧の皆さんに何か一言ありますか?


センジュ: 皆さん、僕のインタビューを見てくれてありがとう!あと、僕の恋路を見守ってくれて嬉しかった!でもね、コスゲたんのデスゲームは本当に危険だから決して僕の真似して参加しないでくださいね!安全が最優先です!

ただ──もしかすると、僕みたいに人生に何の希望も見出せなくて、たまたま申し込んだデスゲームで運命的な出会いを果たす──そんな人がいるかもしれない、そんな君に。正直僕は恋だの愛だの心の底から陳腐で奇妙で馬鹿馬鹿しいものだと思っていたんだけど。彼女に出会ってからはその陳腐で奇妙で馬鹿馬鹿しい恋だの愛だのに関する言葉ばかり調べている。変だよね、全部彼女のため……いや、自分のためなんだけど。とにかく!恋ってすごいやつなんだよ!君がもしそんな恋をもうしているなら!僕と一緒に参加しようよデスゲーム!連絡して!電話番号は──


──センジュさん、貴重なお話をありがとうございました。貴方のデスゲームでの経験は、多くの人々に感動を与えることでしょう。おそらく。次回のデスゲーム、お一人で頑張ってくださいね。


センジュ:はい!あ、そうだ最後に!──コスゲたん、君に伝えたいことはたくさんあるけど、一番大事なのは『君を愛してる』ってことだ。君と出会ってから、心の中にはいつも君がいて、君を思って生きている。君の全てが愛おしい。会いに行くよ、待っていて。


──ありがとうございました。次回があれば、お楽しみに。

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