ゲーム内で寝取られてしまう不遇幼馴染キャラに転生したが転生先のスマホ乙女ゲームがクソゲーだったのでモテすぎて推しと恋活できない
みどりの
プロローグ(第1話) 幼馴染令嬢は寝取られないことを誓う
「はぁはぁ……相変わらずスーは元気だなぁ」
坂道を登ってきた目の前にいる若草色の髪をした少年が私に話しかけてくる。私が前世から一番好きな声。
この乙女ゲーム「ペンタグラムの乙女」の世界に転生して、今8歳になっているスザンヌ・ド・ココン、ココン男爵家の一人娘である私に対して、私の婚約者である9歳のアル様が息を切らせながら話している。
相変わらずいい声、私の推しだったVtuberの凶夜様が声優として声を当てていたキャラクターであるアルベール・ド・シモン様だ。
私も彼も同じように男爵家の生まれであり、ココン家とシモン家の両家が近しい関係であったため、幼少期より婚約していたという設定であった。
ここまでさらっと「転生」「声優」「乙女ゲーム」という単語がぶっ込まれているが、読まれてる方のご想像通り、私はこのゲームの重課金者で、ある時マンションの下を歩いているときに頭の上から落ちてきた植木鉢で死んでしまったのだ。
次に気付いたのはスザンヌ3歳の誕生日だったというわけ。
転生前にOLしていて株式投資でちょっとした余裕があった私はスマホアプリの「ペンタグラムの乙女」に推しのVtuber凶夜様が声優としてデビューし、アルベールの声を当てるって知った時、思いっきり推しを買い支えるって決めた。
実際に運営会社がヤラかしてたった1年足らずでサービス終了するまでの間、私はほとんどのイベントでランキング1位、アイテムフルコンプ、イベントスチルフルコンプなどの数々の偉業を成し遂げて、伝説のプレイヤーとなっていた。
ユーザー数が少なく、イベントの数も少なかっただけという説もある。
ただ、私はそこまでしてのめり込むほど凶夜様と彼が声を当てているアルベールにハマっていたのだ。
Vtuberの凶夜様はどちらかというと低くてカッコいい大人の声質なのだが、物語後半に回想シーンでショタ時代のアルベールを演じるシーンがある。
普通は少年時代の声って声優を変えて女性が当てたりするものだけど、この運営はお金がなかったからか凶夜様本人に演じさせてその場を乗り切った。
その声がまさに天使の声だったのだ。凶夜様が頑張って出したハスキーボイス。少年の声にしてはちょっとまだ大人っぽかったけど、その声を聴いた瞬間私は絶頂した。
スイマセン、前世はちゃんと性経験もある30代の女だったので性的なことも普通に書いてしまいます。声だけでイカされちゃったのだ。
そして今、私の目の前にはそのアルベール様がいて私に向かって笑いかけ話しかけてくれる。
無課金幼馴染婚約者プレイ! 私はいったいどこに課金すればいいの? 神か? この世界に神がいるなら神に人生を捧げるために神殿で修道女になってもいいが現世のこのアルベール様との幸せを享受するために私はずっと一緒にいたい。
はぁはぁ……もっとも今の私は8歳、この世界で成人を認められる18歳まであと10年もある。年齢制限解除して結婚すれば好き放題ヤリ放題まである。
夢の推し活生活を手に入れるのだ!!!
だが、ここは乙女ゲームの世界。アルベール様は「ペンタグラムの乙女」の攻略対象でヒロインの平民女子の気分次第では寝取られてしまう。最悪逆ハールートでアルベール様がないがしろにされて幸せになれないのを草葉の陰から眺める羽目になってしまう(可能性がある)。
いや、正確にはそんな悠長なことを言っている場合ではない。私は物語が始まる前に退場してしまうアルベール様の「元」婚約者。
ゲームでは名前さえ出てこなかったモブAのスザンヌ・ド・ココンなのだ。寝取られるのはアルベール様ではない。私の方が先に寝取られるのだ。WSN(私が先に寝取られちゃったのに)だからアルベール様は浮気ですらない。
それどころかゲームでのアルベール様は婚約者のモブAが寝取られたことでやさぐれ剣士として物語に登場して、主人公の優しさと明るさに惹かれて救われていくという設定なのだ!
アルベール様を不幸にするやつはどこのどいつだ! あたしだよっ! スザンヌ・ド・ココンだよ!
というわけで私はアルベール様との幸せな未来のためには絶対に寝取られるわけにはいかないのだ。
アルベール様の初登場時のコスチュームは実は5パターンもある。これは作中最多で私はそれをフルコンプするためにチュートリアルを23回リセマラした。
その条件が何と幼馴染のモブAの寝取られ相手によって変わるのだ。なんだこのスタッフ? エロゲ脳の脳が破壊されたゲームクリエータが混ざりこんでいたのか?
だが、乙女ゲーでネトラレシーンを微に入り細を穿つというそいつの性癖のおかげで私には私が誰に寝取られるのかが全部分かっている! 学生に使用人に野盗、家の没落から戦争まで、ありとあらゆる相手に様々な方法で私は寝取られる。
そして寝取られるは15歳から入学できる「聖マルティネス学園」でアルベール様が2年生、私が1年生の時だ。
ヒロインが入学してきて物語が始まるのはさらにその一年後、アルベール様が3年生の時。
やさぐれ剣士のアルベール様は3年生でこじらせているところをヒロインと出会うのだ。ゲームはその後、1年経たずにサ終しちゃったので真のエンディングは誰も見ていない。
幼馴染が絶対に寝取られちゃいけない物語。不遇職の幼馴染に転生したけど婚約者と幸せになったらダメなんて誰が言った?
原作知識と転生チート、30代OLの課金力と知識と性テクニック。持っているものを全て活用して絶対幸せになってやる!
幼馴染だから不幸にしていいと思っている現実世界のバカどもにも目にものを見せてやりたい!
そう、たとえこの世界がゲームで描かれなかったものが存在していないとんでもないバグ世界で、学園に入学したら女生徒全学年合わせて3人に対して男子生徒が3学年で200人超、男性教員30人の超逆ハーレム状態であったとしても。
そんな適当な設定してるから1年経たずにサービス終了しちゃうんだ。あれだけ課金してあげたのに。
「ここから見える景色はやっぱり最高だね」
まだ9歳のアルベール様の優しい声。この声が聴けるなら私はいくらでも頑張れる。
ピクニックで二人の思い出の丘に登ってきて王城を見下ろすこの風景はまるで「ペンタグラムの乙女」のオープニングスチルのよう。
アルベール様に寄り添いながら指を絡めるようにしてギュっと手を握る。顔を真っ赤にしている
「ええ、この風景に誓って絶対に幸せになりましょうね。アルベール様大好き」
これは一人の少女が婚約者と幸せになるために絶望的な状況を覆す物語。
絶対幸せになってやるんだから!
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こういう物語を思いついて放置したのが2か月前……2か月でとりあえず処女作である「幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う」に決着をつけたのでこちらの続きを書き始めました。
完結済みを解除して本日8/13 19:00より公開開始です。
まずは4日連続更新で8/17まで1日1話ずつ、それ以降は火曜、木曜の週二回更新です。
そこまででプロローグ的なお話が終わって本格的に物語が動き出すように出来ればって思います。
物語はスタートダッシュが大切。面白いと思われた方はフォローや☆☆☆での応援よろしくお願いいたします。
2か月も経ってからスタートダッシュも何もないのでけどね。
-----------------------昔のあとがき------------------------
設定を思いついたのでプロローグって感じで一話だけ完結済みとして公開。
二話以降のアイディアはある程度できているのですが、今連載中の作品に全力投球しているので書くとしても当分先になるかも。
続きを読んでみたいと思われた方はコメントください。フォローしておいてもらえると完結済みを解除して続きが始まった時に通知が届くのかな。
幼馴染が勝つ世界に需要があるなら頑張ってみたい。カクヨムには不遇幼馴染が多すぎる。
作者の特性上重い話にはならないと思います。
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