恥ずかしがりやのウズメちゃんは、『裸踊り』の才能を、できれば発揮したくない! ~無実の罪で追放された私、ピンチに使った恥ずかしスキルで、天才少女に懐かれました~
青単西本
第1話 雑用係の殺害計画
「あなたはクビよ、ウズメ。ギルド・ラグナロクのお荷物」
「ど、どういう事なんですか、ヘラさん…!」
いきなりクビを宣告してきたのは
ギルドのサブマスターであり、我が国の第五王女である、ヘラさん
そして、私は今、彼女のお付きのメイドさん二人に組み伏せられている
伏せられた地面から草の匂いがする
…私は彼女らに誘われ、傷によく効く薬草を摘みに、郊外へやって来たはずだった
なんでこんな事になっているのか…
「前々から不思議だったのよ…どうしてあなたのような、ゴミスキルしか持たない
クズがわたくしのギルドにいるのかって…」
彼女は『調べはついてる』といった風に、腰の道具袋から一枚の紙を取り出す
…それは、ギルドに提出している、私の履歴書だった
「『宴会芸』なんてスキル、冒険者には必要ありませんわよねぇ」
「そ、それは…生まれつきのユニークスキルで…」
通常の方法では手に入らず、生まれた時から持っている才能…ユニークスキル
大抵の人間は、そのスキルに合った場所で活動するのが普通だ
けれど…
「私、赤ん坊の頃に、前のギルド長に拾われて、ギルドで育ててもらって…
冒険の才能はなかったから、ずっとギルドの雑用係で働いてきたんです」
私は、育ててくれたギルドに、恩を返したかった
だから、冒険者には合わない才能だとわかっていても、ここで働き続けた
「わたくしが言いたいのは、何で今クビになってないかよ」
…初期メンバーがいなくなり、実力至上主義になってしまったラグナロク
私の居場所が無くなってきてるのはわかる
けど、ここでこんな風にクビを言い渡される意味は…?
「しらばっくれるなら、はっきりと言いましょうか…?」
ヘラさんは、怒りを含んだ紫の瞳で、私を睨んでくる
…恨まれるような覚えは無いんだけど…
「…寝たんでしょう?マスターのユピテルと…!」
「?」
一瞬、何を言われてるのかわからなかった
…えっと…それは、つまり…
「え………ええええええ?!」
現ギルドマスターであり、ヘラさんの婚約者であるユピテルさん
そんな立派な彼と私が…隠れてえっちなことをする間柄だった、と?!
「ご、誤解です!私そんな事してません!」
彼氏を作ったことすら無いのに!
「黙りなさい!
あなたは気づかなかったでしょうけれど、わたくしはあなたとユピテルが
裸で寝ている現場を、遠眼鏡で見たのよ!」
「そ、そんな……何かの間違いです…!」
私のような出自のわからない女を、相手にする訳がないのに…
「大方、そのいやらしい身体でたらしこんだのでしょう?
ギルドにしがみつくために、わたくしからフィアンセを寝取るなど
言語道断ですわ!」
「違います!自分がはじき出されても、ギルドに泥を塗る真似は
決してしません!」
育ててもらったギルドを裏切るなんて…!
「…万が一にも自分で罪を認めるなら、追放だけで済ませてあげようと思ったけど
仕方ないわね」
だめだ…話が通じない……
「二人とも、計画通りに頼むわ」
「はい、ヘラ様」
計画…?
「『不貞を働き、ギルドにしがみついていたお荷物は、その罰が当たり
近くのダンジョンに迷い込み、足を踏み外して深層へ落下、死亡した』」
「?!」
さ、最初から…私を処分するためにここへ…?!
「もし死体が発見されても、落下死なら、故意かどうか判別などつかないわ…!」
「ま、待って…!話を聞いて…!」
無理やり引っ張られ、移動する
ここからすぐ近くにある洞窟型のダンジョン…私の処刑場へ
「哀れな娘ね…
『宴会芸』なんてゴミスキルを持って生まれなければ
あなたもこのような事せずに済んだでしょうに…」
「ちがう…ちがいます…!」
そんな哀れまれるような事はしてない…!してないのに…!
「ヘラ様、先日お話ししました通り
この洞窟の入り口には、誰かが起動したトラップ
…それにより開いてしまった深層への穴があります」
「深層は強力な魔物が生息しており、落下に耐えられたとしても、死は確実です」
淡々と、私の処分方法を語るメイドさん二人
物腰の柔らかい、優しい人たちだと思ってたのに…
「い、いや……やめ…やめて…」
必死に抵抗するも、二人の力には勝てず、穴に押し込まれる
「自分の生まれと、しでかした罪の重さに、後悔しながら死になさい」
「いやああああああああああああああああ!」
死の恐怖を感じながら、私は絶望の暗闇へと落ちていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます