リボルバー。今回はロマン抜きで実用性について。

 リボルバー。現在でも根強い人気があり衰える気配が無い。


 装弾数こそはオートに負ける物の……否、もしかしたらあらゆる面で負けている側面が多いのかもしれない。個人的にリボルバー贔屓なのだが、今回は贔屓を一旦、下げてリボルバーについて語ろうと思う。


 リボルバーと言えば真っ先に連想するのがマグナムだろう。確かに構成部品が少なく可動域も少ないので故障する要素も少なくなり材質さえ堅牢なら強力な実包が使える。反動を制御できない云々に関しては個人の膂力にかかると思うので今回は割愛。


 そして五発乃至六発しか撃てない。これは物理的に仕方がない。モデルによっては七発以上装填できる物も存在するが、本体の大型化や実包の口径が小さくなるなどの『引き換え』が大きい。


 性質上、銃身の長さも無視できない。状況に応じ、また、開発コンセプトにより、同じフレームでも銃身の長さが違うバリエーションモデルも多い。


 現代に於いては、こうなれば自然と、アクティブに発砲するタクティカルピストルとしての出番は少ない。米国でも最近はホームディフェンスではオートピストルを中心にしたものが多い。


 護身用かスポーツ用か。

 これにほぼ限定されるだろう。


 西部劇の時代は終わった今では、軍隊や司法関係者がリボルバーを積極的に持ち出すことはない。それでも習熟用に訓練させることはある。……或いは一部の国の特殊部隊や狙撃を担う部署のように、近距離での狙撃に特化したリボルバーを今でも運用している例はある。話は少しそれるが、狙撃とは超遠距離から相手の頭を狙う技術はあまり評価されないらしい。何処まで標的に近づいて確実に命中させられるかが狙撃の本質だという。それを鑑みれば三十メートルの距離で狙撃用に調整した対物ライフルを用いるのは馬鹿馬鹿しい。


 ……勿論の事これらは、国外の話だ。


 激しい銃撃戦を想定した運用はされていない。これに尽きるだろう。

 なので、護身用かスポーツ用でしか評価されない場面が多い。


 護身用と言っても国内では馴染みがないが、山間部が険しい外国ではトレイルガンやキャンピングガンなどというカテゴリで強力なマグナムリボルバーを携行し、野獣の強襲に備えたり、または遭難した時の非常食確保のために持ち歩く。余談だが、かつて、二十二口径十連発オートが大量に開発されてアウトドアで活躍したらしい。そのムーブメントが現在ではリボルバーに変遷しただけとも言える。(ヘミングウェイはレジャーの際にコルトウッズマンを愛用していたという説がある)

 リボルバーにいかにもワイルドなイメージが付きまとうのもアウトドアで活動する事業者の腰に提げられた印象からだろう。


 タクティカルな運用が薄い理由の一つとして、実のところ、引き金の重さも相まっているのではないかと。


 現在はダブルアクションリボルバーが主体だ。撃鉄を起こせば確かに軽いトリガープルで撃発する。これを護身用に当て嵌めて考えると、近距離から至近距離での、安全装置を外している暇もない即応性が求められる護身用拳銃ではリボルバーは確かに有用性が高いが、撃鉄が起きていない状態……ダブルアクションで咄嗟にグリップを握り咄嗟に抜き、咄嗟に思い引き金を引いたときにガク引きを起こして命中精度が下がる事態も報告されている。


 抜くからには必ず初撃で仕留めないと自分が危うくなる。かなりの熟練者でないと護身用として『使いこなす』のは難しい。


 護身用……もっと狭い定義のホームディフェンスという定義で語るなら、弾倉が無いのが優位だったりする。自動拳銃で弾倉に装填したまま金庫に入れていたり抽斗に仕舞い込んでいると弾倉のバネがヘタってしまい確実に薬室に実包を送り込めない事故が一定の割合で発生する。リボルバーは薬室のみだ。弾倉は無い。長い間、実包を装填したまま放置しても問題ない。いざという時は引き金は重いにしろ弾が出る。


 もう一つ付け加えるのなら、護身用は護身用で、相手を致死たらしめる必要はない。相手を負傷させたり相手を驚かせたりしているうちに逃げればいい。


 もう一つ付け加えるのなら、護身用は護身用で、相手を致死たらしめる必要はない。相手を負傷させたり相手を驚かせたりしているうちに逃げればいい。または相手を追い払えばいい。金銭目的の暴漢や悪漢は標的から一万円を奪うために五万円の銃を買い、それに違わぬ訓練を受けてタツジンになってから強盗行為など働かない。ナイフや三千円程度のサタデーナイトスペシャルで思い付きで犯行に及ぶ場合が殆どで、高価な銃を用いてタクティカルトレーニングを積んで強盗一筋に命を懸けている職人は希少種だ。


 スポーツ用ならただただ、命中精度を求めればいい。シューターが偶々、リボルバーが好きだから使っていただけという場合もある。


 スポーツ用のリボルバーとして語りたい事が山のようにあるが、一応決めている紙幅が迫っているので、今回はここまでとしたい。またの機会にリボルバーでのスポーツシューティングを語りたいと思う。

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