第22話空から…

 外で寝ていた俺は何か眩しさを感じて瞼を開く。すると空から流れ星が海岸近くへと落ちるのを見えたんだ。


「…海岸に落ちた?しかも落ちた場所が異様に明るいのがここからでも分かる…。こんな現象は初めて見た…」


 優花と未希はまだ日が昇ってない事もありまだ眠っている。何が起こったのかこれから何が起こるのか分からない為、2人には悪いが起きてもらい何かあったら逃げて貰わないと…。そう考えた俺は急ぎ二人を起こす事に…。


「悪い。起きてくれ2人とも!」


「…ど、どうしたのっ!?も、もしかして夜這い!?」

「…何っ!?な、何かあった?えっ!?夜這い!?」


「ふ、二人とも落ちついてくれ!夜這いなんかじゃないから」


「そ、そうなんだ…」

「…な〜んだ…違うのか…」


 何で二人とも残念そうなんだ?夜這いって言ったらどうなったんだ?いや…今は…


「こほん!簡潔に纏めて話すと空から何かが海岸沿いに落ちたっ。俺は念の為に様子を窺って来るから、2人は何か異変があれば逃げてくれっ!いいな?」


「そ、そんなっ…だったら…豊和君も…」


「大丈夫。様子を見てくるだけだからさ」


 俺は心配してくれる優花の頭に手を乗せ、安心させる様にそう言った。


「…絶対…戻って来てね?」


「うん」


「末広もちゃんと逃げるんだよ?アタシ未亡人にはなりたくないからね?」


「結婚も付き合ってもいないのに未亡人って…とにかくありがとうな?」


「豊和君…絶対に絶対に帰って来てね?約束だからねっ!」


「嗚呼っ!約束だっ!」




 俺は海岸沿い近く迄走って向かう。落ちたであろう場所は未だに光を放っている…。ある程度近付いたところで俺は走るのを止め…身を潜めながらその光の様子を窺う事にした…。


 砂浜には小さめのクレーターが出来ているのが見える…。


(…何なんだ?サバイバル動画でも見た事が無いぞ…。あんな光…テレビでたまに特番でやってる超常現象の類いだろ…)


  様子を窺っていると…光が段々収まってきた。目を凝らして見てみると、クレーターの中心に人影らしきものが倒れている様にも見える…。


(もしかして…この光は流れ着いた人が居る事を知らせる為の光だったのか?いや、でも空から光が降ってきた感じだったし…人ではないのか?ああ…もう…分かんねぇ…)


 光はどんどん光を失っていく…。辺りはまだ少し薄暗さが残っている。くっ、光の元に行くべき…か? 行くしか無いよな?アレがホントに人だったら大変だし…。覚悟を決めた俺はゆっくりとそこに向かった…。


 それに照らし合わせたかの様に太陽の光が少しずつ辺りを照らし始めていく。


 すると…人だ。 人が倒れている!?あの光はやっぱりこの事を知らせる為だったのかっ!?



「おい!大丈夫……か……っ…」


 慌てて駆け寄った俺の目に映るのは仰向けで倒れている裸の女性。だけど…俺の目にはその時女性の姿が何と言えばいいのか…。神々しいとでもいうのだろうか?


 とにかく…まるで天女や天使ともいえる芸術的かつ非の打ち所が無い綺麗な白い肌。小さめの胸に色付く薄ピンクの突起物…。そして細く引き締まったウエスト…。


 はっ!?見とれてる場合では無いな!馬鹿か俺は?慌ててその女性の呼吸を確認してみる……。


「良かったぁ…息はしている」


 俺は彼女に自分が着ていたブラウスを脱いで女性に掛けると女性を抱き抱えた。俗に言うお姫様抱っこだ。彼女を抱き抱えると何か鼻腔と煩悩を擽る良い匂いが…。くっ、煩悩を捨てろよ、俺っ! と、とにかく2人も心配してる事だろうし早く戻るとしよう。




「豊和君!」


 拠点へと戻ると俺に気がついた優花と未希が慌ててこちらへと駆け寄ってきた。


「豊和君大丈夫…?  って、その…は、裸の綺麗な女性は誰?」


「…ヤッたの?」


「ええーっ!?」


「ヤルわけ無いだろ!?どう考えても彼女が倒れていたから連れて来たんだろ?とにかく…彼女が誰かはまだ分からない」


「そうなんだ…」


「ったく、とにかく彼女を休ませよう!」


「うん」


「ほいほ~い!」




 俺達は彼女の目が覚める迄の間、高床式の家の下地に取り掛かっていた。ツリーハウスみたいに生えてる大木を利用しつつもしっかりと木と木を組んでいく。地面から床を浮かせる事により水害や虫避けにもなる為だ。一朝一夕で出来る物でも無いから仮のシェルターも同時に作っていく。


 力仕事は勿論俺が行い優花と未希に出来る事は任せる。3人にもなれば作業もやはり効率が良い。そんなこんなで時間は過ぎていき…


「ここは…」


 彼女が起きて来たがまだ意識がハッキリしてないのかブラウスは俺が掛けていたものを着ているみたいだが下は何も身に付けていない為、目のやり場に非常に困る…。それに気がついた優花が一度彼女をシェルターに連れて行き…あっ…俺のズボンを履かせたみたいだ。


「えっ~と…初めまして…俺は豊和。簡単に説明すると、君は海岸で倒れていたんだ。それでここに連れて来たんだけど…」


「豊和君が貴女を連れて来たんだよ?で、私は優花。宜しくね?」


「そうそう…あっ、アタシは未希」


「…豊和…ようやく…逢えた…」


「えっ?ごめん…聞こえ無かったんだけど…あっ…日本語って話せる?」


「…大丈夫。話せるよ」


「良かった。もう一度言うけど君は海岸に倒れていたんだ。名前とかは分かるかい?」


「名前……ボクの名前はガブリエルだよ?」


「ガブリエル…さんか。え~と倒れる迄の記憶とかはある?」


 ガブリエルって事は…外人?見た目はそうは見えないけど…ハーフかな?


「…え~と…確かボクは…配信の…急いで堕ちて…」


「落ちてって飛行機?」


「…あっ…うん…そんな所だよ」


「やっぱり…飛行機って落ちたんだね…」


「憶えてる人から聞くと改めてショックっしょっ…」


「そうかぁ…よく生きてたな俺達…」


「「…うん」」   


「…そんなことより…大事な話がある」


 そんな事!?飛行機が落ちたのよりも大事な話!?


「「「大事な話?」」」


 俺達はガブリエルさんの次の言葉を待った。


「うん!ボクを君のお嫁さんにしてよ」


「「「………えっ!?」」」


「してくれる?」


 いや…急にお嫁さんにしてと言われても…


「も、もしかして…記憶が錯乱してる?」


「してないよ?」


「じゃあ…寝惚けてる?」


「寝惚けてない」


「頭がおかしいっしょ?」


 未希も大概だと思うけどな?


「みんな失礼だよ?ボクはおかしくないからね?」


「……も、もう少し休んでからゆっくり話そうか?」


「「そ、そうだね」」


「ボクは正気なんだけどっ、何でっ!?」


 突然の出来事に彼女はついてこれてないのだと俺達は判断した。取り敢えず…朝の食事をして…時間をおいてから色々聞いてみる事にしたんだ。

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