第一部
第1話気が付いたら無人島!?
…ザザァッ──! ザザァッ───!
音が聞こえる… 波の音? 鼻腔には潮の香りかっ、これっ?
「――うっ……」
重い瞼を上げ始める。
視界には光が差し込み眩しく感じてしまう。
―やがて目が慣れてくると共に砂浜が視界に入る。どうやら俺は砂浜に倒れていたみたいだな。
ダルい身体を懸命に起こし…座り込み辺りを見渡す。数メートル先には広大な海が見える。周りは綺麗な砂浜。背面方向には森とでも言えばいいのだろうか。木々が生い茂っている。
俺は何処かに流れ着いた?
何故? ここに? 何が起こった?
「…確か…突然決まった修学旅行に……そうだ。思い出した…。急に修学旅行に行くことになって迎えた当日、飛行機に乗り修学旅行先に向かう途中……迄は憶えているんだけど ―その後が分からない」
もう一度辺りを見渡すと鉄と思わしき物体が少しだけ砂浜に打ち上げられている。飛行機の部品…なのか?
―そして俺の旅行バッグ。
「…もしかして飛行機に何かあって墜落したのか?だとしたらここは…運良く生きたまま流れ着いた?―ふぅ~ それしか考えられないよな?」
バッグを拾い中を確認。何故だか濡れてない、濡れた様子も無い何泊か分の着替え。財布、水筒。ペットボトルに入った500ミリのお茶が3本。個別包装になった20個入りのチョコレート。飴玉が10個。筆記用具にノートが三冊。タオルやお出かけセット。こんな事になるのならもっと色々持ってきとけば良かった…。
「まずは水を確保しないとな…」
(人は水が無いとまず生きていけないからな)
荷物や持ち運べる鉄製の物体を幾つか森の入り口の木の木陰へと纏めて置いておく。そしてノートとボールペンを持ち海岸沿いの砂浜を見渡しながら歩いて行く。
途中ヤシの木、貝類が取れそうな磯等、気になる所はしっかりノートに書き記しておく。我ながらサバイバルが趣味なお陰かこんな事になったのに結構落ち着いているもんだ。
「おっ!?これはナイフ代わりに丁度良いんじゃないか!?」
砂浜で包丁みたいな形をした鉄製の物を見つけた。少し焦げた跡が付いているが先は鋭く長さは20センチ位。厚みもあり丈夫そうだ。これは持ち歩く事にしよう。
「他に俺みたいにここに流れ着いた人は居ないのか?それとも先に流れ着いてもう森の中とかに向かったとか?」
引き続き辺りを見回しながら砂浜を歩く。島の方から海に向かって小さな河口が見えて来た。幅は2メートル無い位だろうか?川というよりは小川かな?まぁ、川で良いか?手で水を掬い口に含み吐き出す。塩辛さが無いから多分真水。涌き出て流れた物だと思う。水を飲む時は念の為煮沸かろ過してからだろう。
「…水は取り敢えず確保出来そうだ。ヤシの実も落ちてたし、木の上にも実がなっていたしな。この川沿いに森に少し入り川から少し離れた場所へと荷物を運ぼう…」
俺はそう思うと同時に即行動へ移す。多分太陽の位置から判断すると昼過ぎか昼前位だろう。寝床は流石に確保したいからな。川沿いを暫く歩き予定通り森へと入る。すると少し大きな幹の木を見つけた俺はその木の下に荷物を運び始める。途中落ちてるヤシの実や目を付けていた磯で黒貝を見つけ搾取。潮の通りも良いのでここら辺の貝が毒を持ってる事はなさそうだ。
潮が溜まり流れが悪い所なんかは気を付けないと毒を持ってる可能性があるからな。
黒貝を取り元の場所に戻った俺は手で掴める大きさの石を右手にナイフ代わりの鉄片を左手に持つ。
そして思い描く木を手に入れる為に少し森の中へと入って行く…
―チチチッ! チチッ!
「鳥の鳴き声がする…鳥がいるなら罠も作らないといけないしやる事は沢山あるな。人は色々と取らないといけない栄養も多いし、いつ助けが来るかなんて分からないしなぁ…せめて…誰か他に流れ着いた人が居て手伝ってくれれば楽なんだけど…」
森の中を見て回ると切りやすい手頃な幹の大きさで長さも丁度いい感じの木が見つかった。そして俺的に一番大事なのが上の方がY字になっている事。この方が色々便利なのだ…。
「これが良い!それに何本か回りにも同じ様になっていて手頃な大きさの木があるっ!」
まずはそのうちの一本の木に向かって、鉄片の鋭くなってる方を幹に斜めに添え、持ってる石で鉄片を叩く!
カツーン! カツーン! カツーン!
─鉄片に石で叩かれる度に音が響く…。すると木の幹に少しずつ鉄片が埋まっていく…。反対側からも同じ様にする…これの繰り返しだ…。
「うん。鉄片はナイフ代わりに丁度良いし、動画とか見ていて本当に良かった。こういう時に何すれば良いのか分かるからなっ!」
1人だし独り言は気にしないでくれ。少しでも言葉を口にしてないと流石の俺も不安になってしまうからな。かの有名な俺が尊敬するサバイバル配信者のヘアー・グリスルさんやエト・スタンスタンさんも言ってた。
「遭難した時に大事なのは水、食料、そして何からするかをしっかり決め、目標を持ってこなしていく事」
そうこうするうちに取り敢えず3本も切る事が出来た。そして近くの木に蔦っている蔦を引っ張り巻いて持って行く。紐替わりに使う為だ。少し離れた場所には竹が数本生えている。1本だけ木を切った時と同じ様に切って持っていく事にした。
「竹があるとはな…。でもこれで地べたに寝ないで済むし…簡単な竹のハンモックが作れるから運が良いなっ!」
切った木と竹を引きずりながら荷物が置いてある場所へと戻る。しっかり回りも確認する事は忘れない。蛇や場所によっては毒グモにサソリの可能性も考えておかないとな。なんたって、ここがどこだか分からないのだから…。
「よしっ!ここを拠点にしよう…」
大きな木を利用してブッシュクラフトシェルターを作っていく。これを作る時に先程のY字になっている木が役に立つのだ。まずは2本の木を垂直に立てそれぞれのY字の真ん中に切ってきた3本目の木を乗せて挟み込む様な形にしてそれを蔦で結ぶのだ。
途中…絶対に水分をとるのは忘れない。ヤシの実からしっかりと今日は取っておく事にした。栄養もあるし、サバイバルでは重宝する存在不可欠と言って言い様なもの。まあ、ヤシが生えていればの話だが…
とにかく…脱水状態なんてサバイバルをするうえでは致命的だからな。
「ふぅ〜 今日のシェルター作りはここ迄だな…。空模様を見ても雨は降らないと思うから。問題は寒さか?今の気温は日本の5月と同じ位だろうか?とにかく次は竹のハンモックに取り掛かって火をおこしておこうかな。出来れば地面で寝るのは避けたいしなっ。今の所は危険な虫とかは見掛けないけど用心に越したことは無い…これもサバイバルの掟だろうよっ!」
そして竹のハンモック作りに取り掛かる。
まずは竹を縦に半分に割る。そして半分に割った竹に今度は縦に切れ目入れていく。この時に両端の
そして広げるとハンモックの完成だ。それを大きな木と近くに生えている丈夫な木の間に結び付ける。そしてそこら辺に生えている苔をハンモックの上に乗せれば快適簡易ベットの出来上がりだ。!ホント動画配信様々だな。
そして最後に火おこしを行う。これが一番大変なんだ。木と木を擦り合わせ摩擦で火を点ける。動画でもよく火をおこせない所を見た事あるだろ?とにかく俺は火をおこすのは根気だと思っている。だって寒い所でも火をおこそうと思えばおこせるのだから。
「しゃあぁぁぁーーー!や〜ってやるぜっ!」
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ―
そして苦労の末、―何とか火を得る事が出来たんだ。
後はこのおこした火を絶やさない様に木を組んでおく…。これで取り敢えず火が消える事はない…。
そして俺は竹のハンモックに横になる。もう今日は眠るとしよう。火おこしで疲れてしまったからな…。
俺は疲れていたからか…眠りに落ちるのは早かった。
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