93 鳳凰暦2020年5月2日 土曜日朝 通学路


 彼が、来ません……。


 私――平坂桃花は、いつもの場所で、いつもの時間に、彼を待っているのですけれど、彼が来ません。


 既にいつもの時間を2分、経過しました。


 ……は? まさか、たまたま、少し早い時間に行ってしまったのでしょうか? それならば、まだ校門前で捉まえられるはずです。


 私はそう考えつくと、急ぎ足で学校へと向かいました。

 しかし、やはり校門前にも彼はいませんでした。


 それでも、まだ、少し遅れていらっしゃる可能性も……という考えも空しく、7時になって門が開いていきました。


 ……約束なしでも彼と一緒にいて観察できると、そう考えていた私が甘かったようです。


 私はあきらめて小鬼ダンジョンへと走ります。せめて、いつも、彼と一緒だった時のように、その気持ちを持ったまま、ダンジョンアタックをするのです。


 ソロでどこまで私がやれるのか、という点も少しは興味がありますし……。





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